2023/03/02
うつ病を告白した、ニクラス・シュミット「想像し難い落ち込みに襲われる」

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今年の1月にニクラス・シュミットは、ヴェルダー・ブレーメンでの冬季合宿期間で、自らがうつ病を患っていることを公表。その上でこのテーマについてより、オープンなアプローチをとっていくよう訴えている。今回ラジオ・ブレーメンに出演した25歳は、自身の状況について改めて説明。「うつ病になってしまうと、全てのことに対して疑問を持つようになってしまうんだ。いきなりキャリアを終えてしまおうという衝動に駆られるわけではなくて、でもずっとそのことが頭の中にこびりついているような感じだよ」とも明かしている。「今は半年前と比べて、だいぶ改善はされているけどね。でも一気にくるものだから難しいんだ。想像できないほど気持ちの落ち込みに襲われるし、毎日で状態がかわってくるものだから」
シュミットによれば1度ピッチに立ってしまえば、本当にその時は気分がよく、全てのことを遮断できるようになるという。だが問題はプライベートの時間に入ったときであり、その時にはもはや気持ちの切り替えは容易ではないようだ。「この病気というのは患者の考え方や感じ方、そして行動によっても大きな影響が与えられる。例えるなら噴火したくても噴火できない休火山のような状態。ただ最終的には結局、爆発させてしまったのだけれどもね」それが最近起こったのは2022年10月に行われたSCフライブルクとのアウェイ戦直前のこと。そこで”小さな爆発”に見舞われたシュミットは、そこでオレ・ヴェルナー監督やクラブ関係者と話し合ってこの病気について告白することを決意。「そこで僕にはしっかりと話を聞いてくれ、そして理解してくれる素晴らしいコーチがいたんだ。本当にそれは僕にとって救いとなったし、本当にとてもケアしてもらっていると振り返る。
それまでこの病気のことを知っていたのは、シュミットの周囲のごくわずかな人間だけだった。あるときシュミットが頻繁に引っ込み思案になるようになり、一人になりたがるようになったことに気づいた周囲から、声をかけられても耳を貸したくもなかったというシュミット。だがある時に母親が訪れた時に、そこで助けを求めることを決意。それから心理的な治療を受けるようになった。「あれは12歳になる、少し前のことだったね」今年の1月に自身の病気について告白し、そして世にこのことへオープンなアプローチを求めていくことは、シュミット自身にとってもとても大事なことだったという。「サッカーとかそういうことに関係なく、問題を抱えてしまった人が、それを自分の中で抱え込んでしまわないようにしていけるよう、そのための一助にでもなれればと思うんだ」とシュミット。元ドイツ代表GKロベルト・エンケの悲劇も引き合いに出しつつ、「残念ながらまだ精神的な問題を語ることはタブーとされているんだ。でも決して恥ずべきことではない」と訴えている。