2022/12/05

「ありがとう、ドイツ!」歴史的快挙に挑むサムライ・ブルー

 カタール・ワールドカップのグループリーグ最終戦、ハリファ国際競技場のピッチでは森保一代表監督の周囲に大きな人だかりができていた。この試合で勝利をおさめた日本代表は、今大会における最難関グループと目されたいわゆる『死の組』、ドイツ、スペイン、コスタリカと同組で見事勝ち抜いたのみならず、首位突破という想像を遥かに超える快挙を成し遂げてみせたのである。サムライブルーはまずその初戦で2014年王者のドイツ代表を、そして2010年王者のスペイン代表からも、共に2−1で歴史的勝利を収めドイツ代表をまたしてもグループリーグ敗退へと追い込んでみせた。

 そのドイツ代表戦では森保一監督は、その後のスペイン戦でもみせていたように、自陣ではあまりボールを回さないという策にでる。ドイツ戦でのボール支配率は26%、そしてスペイン戦に至ってはわずか18%という数字からもよくわかるもの。かつて自身も日本代表の一員としてプレーし、1993年には日本サッカー史に残る暗黒の記憶、「ドーハの悲劇で」イラクによるロスタイム弾でW杯初出場の夢が潰えた想いも味わった森保監督は、そのおよそ20年後にその同じドーハという舞台で「ドーハの衝撃」を演じた選手たちを、「新時代でプレーする彼らは、新しいサッカーをみせている。そう感じたね」と振り返る。

 まさにその餌食となったドイツ代表なのだが、実はその長いプロセスで飛躍をみせてきた日本サッカーにおいて、少なからずブンデスリーガが貢献してきた。日韓ワールドカップから3年後の2005年に日本サッカー協会は、初出場となったフランス大会で勝ち点なし、その後の母国開催で決勝トーナメント進出を果たしたという状況の中で、敢えて2050年までにワールドカップの頂点に立つことを目指した『JFAプレッジ2050』プロジェクトを発足。当時はまだ中田英寿や稲本潤一、小野伸二といった限られた海外組とJリーグ中心のチームだったのだが、それから5度のワールドカップ出場を過程のなかで17年間かけて徐々に増加。いまや参加26選手のうち19名が海外でプレーし、うち最大派閥を形成する8人が在籍するのが、ブンデスリーガなのである。

 日本のプロクラブでは技術的、そして戦術的にも育成面で充実しており、ますます多くの若手選手たちが海外の中小クラブから関心が寄せられているところ。いまや代表チームのおよそ半数が欧州5大リーグでプレーしており、しかもそのほとんどがレギュラークラスとしての活躍をみせているのだ。たとえばブンデスリーガでいえば2019年より遠藤航はVfBシュトゥットガルトでプレー。遠慮深くまた気さくな性格でクラブの人気者となっており、いまやチームのキャプテンとして牽引しているところ。また2021年には業界内ではまだそこまで名の知れた存在ではなかった、伊藤洋輝を獲得していまや主力の一角を占める。

 フライブルクでは今夏より加入した堂安律が、2017年より欧州を舞台に活躍する攻撃的MFとして大活躍をみせ、クラブのブンデスとヨーロッパリーグでの飛躍に大きく貢献。また今回W杯ではドイツ、そしてスペイン戦でも重要なゴールを沈めた。準備期間での精彩を欠き、ジョーカーでの起用となったが、日本における今大会最優秀選手となるとはその時はあまり想像できなかったことだろう。それは今年4月のフリック監督への発言でも話題となった浅野拓磨や田中碧といった、ドイツ戦とスペイン戦で共に決勝弾を決めた2人のブンデスリーガーにもいえることかもしれないが。

 逆に期待に応える活躍をみせているのが、堅実な守備をみせる日本代表のセンターバックコンビ。長友佑都に次ぐベテラン選手の吉田麻也と、日本代表ではむしろバックアップだったが今季はグラードバッハでそのクオリティをみせてきた板倉滉。ただし後者は2枚目の警告により出場停止にあるため、日本代表ではクロアチア戦に臨むにあたり守備面に不安が残る。またアイントラハト・フランクフルトでブレイク中の鎌田大地については、まだ本来の姿を見せきれてはおらず、ただもしもそのポテンシャルをピッチでみせるきっかけを掴めば、これから迎える決勝トーナメントでの活躍へ大いに期待がかかることだろう。

 こういったブンデスリーガにおける日本人の主力選手への歩みは、1977年から1986年までケルンとブレーメンでプレーした、奥寺康彦氏から始まったものだ。そこで同氏はブンデス234試合に出場して26得点をマーク。そして90年代に入るとハンブルクとフランクフルトで高原直泰がブンデス通算135試合に出場し25得点をマーク。鮮烈な印象を残しており、その後ボルシア・ドルトムントで香川真司がブンデス148試合に出場して41得点、ブンデスリーガ連覇と国内二冠という目覚しい活躍を演じてみせた。日本とドイツ、この組み合わせの相性の良さは今も、昔も変わることはない。それはワールドカップでの得点者に目を向けただけでも一目瞭然である。そしてまだその道は終わらないはずだ。彼らの掲げる目標、ベスト8進出のために今夜クロアチア代表との歴史的な一戦に臨む。

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