2022/11/20

インファンティーノ会長、カタールへの称賛と欧州への批判を展開

©️Icon Sport via Getty Images

 「本日、私はカタール人、アフリカ人、アラブ人、同性愛者、障害者、そして移民労働者の気持ちを抱き、この場に立っている」ジャンニ・インファンティーノFIFA会長は、FIFAメディアセンターでのスピーチをそのような形でスタートさせた。とりく後者は「自分自身の過去に立ち返ること」も意味するものであり、「私自身が出稼ぎ労働者の息子」であり、「両親は非常に厳しい条件の下で働いていた」ためだ。

 しかもそれは自分が現在住んでいるカタールではなく、スイスで。出稼ぎ労働者がどのように生活し、どのような権利であったかを52才となったスイス人はよく覚えている。国境ではどのように扱われていたか、パスポートはどうなっていたのか。医療検査はどうであったのか。宿泊施設はどうであったのか。私はまだ150才ではないよ」つまり説明したかったことは、スイスはヨーロッパ全般と同様に段階を踏んで今日まで歩みを進めてきたということであり、カタールに対しても同様のことを許すべきであるということ。

 それどころか「西側諸国、一部のヨーロッパの人々は特にここ数週間、道徳的な教訓を指摘している」と苦言を呈しており、「いったい我々ヨーロッパ人がこの3000年間、世界中でどのようなことを行なってきたかを考えれば、道徳的な教訓を訴える前に、3000年分の謝罪をすべきではないだろうか」と語る。「むしろカタールで大金を稼ぐ欧州の企業のうち、過去に移民労働者への権利を訴えた企業はどれほどあるのか?」とも述べ、「利益が減るからという理由でそれを行った企業はない。だがFIFAはそれを遂行したのだ。カタールでみられる発展は、ワールドカップというプレッシャーなくして決して実現しなかったものである」と胸を張る。

 そして『Human Rigths Watch』という団体の調査によれば「ヨーロッパの移民政策のために、過去8年間で2万5千人が死亡している」と説明。だが「金銭的な補償を誰も求めなかった」ヨーロッパ諸国とは対照的に、国境を開放しているカタールでは、「多くの人々がここで合法的に仕事を見つけ、自国の10倍以上の収入を取得し、家族の生活を助ける機会を与えている」と言葉を続けた。「一方的な道徳の授業は単なる偽善に過ぎない。(カタールが労働条件の面で前進したことは)人権団体には認められても、多くのメディアでは認められていない」という。

 具体的な進展としては、カタールの移民労働者のための中央「ヘルプセンター」が設立されるところであり、「カタール政府と何度も話し合った結果であることを強調したい。これは大きなコミットメントであり、真の進歩である」と主張する。また2018年以降、「困窮する労働者や事故後の労働者のために」国家基金から総額3億1500万ドルが支払われたそうだ。

 「将来的には安全面の向上によって、この金額は減少していくことだろう・・・、欧州の企業のみなさんが協力してくれれば尚のことね」と欧州批判を止めることなく、最後に「FIFAでは『ワールドカップ2022レガシー基金』を設立してご希望の人々は誰でも寄付することができる」とも付け加えている。基本的にこの収入源はワールドカップからの収入で、負傷した労働者や家族のほか「途上国の子供たちの教育対策」にも使われるとのこと。「これに同意してくれたカタールに皆さまに大変感謝している。なぜなら通常FIFAレガシーファンドは、地元のサッカーのために使われるのだから」

 インファンティーノ会長はカタールへの賛辞として、さらにタリバンが政権を握ったアフガニスタンから、サッカーをする14人の少女と女性の避難を支援したことにも言及し「カタールの外務大臣のおかげで、彼らを救出してここに連れてくることができたのだ。これに対してアルバニア以外の欧州では、全て門戸を閉ざしていたではないか」ともコメント。

 その上でLGBT問題についてインファンティーノ会長は、「カタールの最高指導者と話を何度もしており、その度にどのような人々でもここでは歓迎されることが確認できる。仮に反対する意見の人がいたとしても、この国の意見でもFIFAの意見でもない」と称賛しつつ、ここでも改めて「プロセス」について指摘。さらに実際にはこの発言内容はカタールで施行されている法律とは全くもって矛盾するものだが「もちろん同性愛も賛成だ」とした上で、「私の父に聞けば異なる返事が返ってきたことだろう。1854年のスイスではまだそのような法律があり、当時はワールドカップだって開催されていたよ。最後にスイスでカントンが女性参政権を導入したのは1990年。1890年ではないよ。それをお忘れなきよう。しかもそれはそこの人々が望んだからではなく、スイスの最高裁判所によって強制されてのことでもあるがね」と説明。

 最終的にインファンティーノ会長からの訴えは、常に同じ結論へとたびたび繰り返される結果となった。「自分を鏡でみて、自分たちがどういった経緯をもっているのか。そのことをしっかりと気を留めておうべきだ。私たちは相手を分断したり挑発したり非難するのではなく、相手を取り込んでいってこちらの考えが正しいのだということを納得していってもらわなくてはならない」そして「FIFAは国連でもなく、世界の警察えもない。我々の武器はボールだけ」にも関わらず、なんとイランや北朝鮮のような国でもワールドカップ開催は可能だとの考えも披露した。「なぜならばその国の体制が問題なのではない。サッカーが問題なのだから。そういった国でも、皆が悪人ということではない。サッカーは人と人を結びつけてくれるもの。それを邪魔したいのは一体だれなのか。我々はこれからも引き続き戦い続けていく。そうじゃないと、誰も戦う人はいないからね」

インターナショナル インターナショナルの最新ニュース