2022/11/20

kickerコラム【カタールでの1日】ありがとう!インファンティーノ会長

©️kicker

 日曜日からカタールの地でワールドカップ開幕の笛が告げられる。だがその開幕戦の前日も、この大会は非常に印象的な場面が演じられていた。kickerのティーモ・ミュラーのコラム。

 もちろん私たちはサッカーの試合についてお伝えするため、ここカタールにいます。そして日曜日には開催国カタールが、エクアドル代表との開幕戦を行うことで、いよいよその火蓋が切って落とされるわけですが、しかしそのキックオフの時にも確実に前日のインファンティーノ会長の独壇場は、脳裏に焼きつかれていることでしょう。その90分に渡った極言は、この手の類では初めてのことであり、マントラの如く繰り返される「史上最高のワールドカップ」の実現のために、何よりその前提となる娯楽性が保たれればという部分とは真逆の、インファンティーノ会長による『典型的なオウンゴール』だったといえます。

 52才のスイス人がみせたその行動自体、論理的にみて疑問を投げかけるものであり、一体なぜ大舞台で感情的になって批判家たちへの総攻撃を仕掛けていったのか。あのような手段で懐疑的な人たちを自分のところへと取り込み、一変した空気を作り出せるという甘い考えによるものだったのか。それとも結局は開催国への意図的な個人的オマージュが主な目的であり、本分であるべきはずのこの大会をも犠牲にしてしまったのか。仮に後者が事実であれば、最悪です。西洋諸国をダブルスタンダードと批判したFIFA会長ですが、むしろ結局は自分自身がメディアに対して「みんなにサッカーと試合を楽しませるようにしろ」と強く要求しているということになるのです。

 確かに現地にいるサッカージャーナリストの1人として、大会に関係するようなチームのライナップ、戦術などを伝えたいという気持ちは強くなるものです。だからこそインファンティーノFIFA会長が演じた『ショー』の後、土曜午後に行われたアーセン・ヴェンゲル氏やユルゲン・クリンスマン氏らによる、テクニカル部分についてを研究テーマとしてトークに安堵したものです。ようやく、ようやくサッカーがテーマとなったのだ、と。そこでは世界のプレススタイルの傾向、センターフォワードへの考え、プレーメイカーとしてのGKの存在など、ある種サッカーファンにとっては目新しさに欠けるテーマだったかもしれませんが、それでも懐かしさと共にありがたみを思い出させるものでした。その点についてだけはそれが意図的な演出だったかどうかは別にして、改めてFIFAの会長には「ありがとう」と言いたいですね。

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