2022/11/23

FIFAの権威主義へ、一矢報いる機会の喪失

©️imago mages

 9月に提示された要請に対するFIFAからの返答は、イングランドvsイラン戦の開始わずか数時間前という急なものだった。まさにそれは今回のカタール・ワールドカップにける条件を、開催国の意向に100%沿う形で独裁的に決断を下している、FIFAのやり方を象徴するものだったともいえるだろう。当初それはビールの販売禁止という、今回の件よりも幾分か些細なものではあったのだが、今回は人権と多様性、同性愛嫌悪、人種差別、反ユダヤ主義に対する欧州の国からの声を、世界統括団体は禁じた上に違反をおかせば制裁を下すとまで脅したのだ。

 これに対してすでに月曜日に試合開催が控えていた前述のイングランドやオランダを含めた、欧州7つの協会はこれに従うことを判断。一方でこれらの国のサッカー協会に対しては、むしろFIFAに屈したとして批判の声もあがっているところ。確かにこれほど明確な立場を取るのであれば、それなりの結果を伴う覚悟も必要なものだ。なぜならば抗議活動というのは、たいていは痛みを伴うものである。

 逆にいえばそれによって覚悟の大きさも測られるというものだ。ではどれほどの痛みが予見されたのか?イエローカードの提示?それであれば毎試合、誰かがキャプテン腕章を回していけばよかっただけだろう。大会参加からの除外?それならばここカタールでのサッカーの祭典は即座に終焉の時を迎えることになる。

 もはやサッカー連盟やビッグクラブが結束し、FIFAのこの権威主義を打ち砕かなくてはならない時が来たのだろうか。このワールドカップが、その最後の一押しとなる可能性は否定できるものではない。金銭面での問題のみならず、サッカー界でもやがてこの連帯の輪は広がりをみせていくかもしれない。ただ今大会に臨むたとえばドイツ代表が、それでもワールドカップでの結果追求を全面に押し出した。

 それは理解のできる判断でもある。政治レベルでの誤りを指摘していくには、選手たちに対してあまりに多くのことを求めなくてはならない。しかしながらドイツサッカー連盟としてはこの『One Love』問題について、協会の指導者や代表監督、チーム協議会の間で話し合いを行い、決して屈しない姿勢をみせることもできたのではないか?もしも仮にそれができていれば、きっと歴史的なシグナルにもなったかもしれない・・・。

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