2022/11/24
ドイツ代表がFIFAの脅しに抗議、FIFAは国際映像カットで対抗

©️Getty Images
多様性と寛容性を訴えるためのメッセージとして、ドイツなど複数の欧州の代表チームが「One Love」腕章を着用する要望を9月に出すも、イングランド代表戦の開始直前に禁じる発表を行なったFIFAに対して、ドイツ代表の選手たちは試合開始前にジェスチャーという形で応戦。カリファ国際競技場で国歌が流れたあと、マヌエル・ノイアーやジョシュア・キミヒら、11人の先発選手たちは口を押さえて写真撮影のため整列した。 ドイツ国営放送に対してドイツサッカー連盟のベルント・ノイエンドルフ会長は、「FIFAからの回答が来ると思っていなかった」と明かし、「このような行動をとるとも思っていなかった」とコメント。「FIFAは威嚇と圧力をかけていると明確に口にしなくてはならない」と非難を展開した。
なおデンマーク代表のディレクターを務めるヤコブ・イェンセン氏によれば、「このテーマについて議論するため、FIFAから緊急会議が要請された」ことを明かし、イングランド代表の宿泊先では「誰かがその腕章を身につければ競技面における制裁を受けることになる」と明言されていたという。「少なくとも警告がだされると言われていた」そしてこの”少なくとも”という表現が、関係国の不安を煽る言葉となっており、ノイエンドルフ会長は「選手に対して、どのような制裁がくるかわからない、なんて伝えるのは難しい」と説明。日本戦前にFIFAから「腕章着用の時は主審が判断する。さらにFIFAは懲罰委員会を招集する権利を有しており、必要に応じて更なる罰則を課すことが可能」と通達してきたと語った。
そこでドイツ代表としては、今回のジェスチャーへと至ったというわけだが、FIFAの国際映像では、この抗議の様子はカットされており、ドイツではドイツ国営放送が独自に増設していたカメラによって中継がなされている。ドイツサッカー連盟はTwitterにて、その意図を「私たちは多様性と相互尊重という、ドイツ代表として大切に思っていることを、他の国々と共に示したいと思っていました。これは政治的なメッセージかどうかの問題ではありません」と投稿。「それは当然であるべきなのです。しかし残念ながら現実ではそうではありません。このメッセージは私たちにとって非常に大切なものであり、その腕章を禁じることは私たちの口を押さえつけるようなことを同じ。それでも私たちの決意が変わることはありません」と説明している。