2022/11/24

日本戦の敗因:ドイツ代表の悪癖と、選手交代の明暗

©️picture alliance/dpa

 ドイツ代表の選手たちは試合開始前の国歌斉唱の後、チームの写真撮影の際に口を覆うジェスチャーをみせ、『One Love』腕章の着用を間接的に禁じたFIFAに対する抗議の姿勢をみせた。その様子はFIFAが国際映像をカットしたために世界に直接伝えられることはなかったが、ドイツではドイツ国営放送が増設したカメラによって。その他にもSNSなどで拡散される形で周知されている。

 だがこの日にドイツ代表が示したかったシグナルは、むしろピッチ上。サッカー強豪国としてのあるべき優位性にあり、実際にそれは試合開始から1時間ほどは確かに実践されていたものだった。前半ではボールの支配率は80%を超え、日本代表に対してあまり隙をみせることはなく、逆に前線では豊富にチャンスを作り出しており、イルカイ・ギュンドアンのPKによって前半をリードして折り返していた。

 しかしながらこの試合でもドイツ代表は、これまでの悪癖を露呈することになる。ネーションズリーグのイングランド戦でも、3月のオランダ戦でも、ドイツ代表はそのリードを守りきれずに勝利を逃しており、前日にアルゼンチン代表がサウジアラビアに喫した流れと全く同じ展開で、幸先よく先制点を奪いながらも2失点を喫し逆転負けを演じることになったのだ。

 優位に試合を進めていた時間帯で追加点をあげ止めを刺すどころか、むしろ逆に日本代表は隙を突いて遠慮なくゴールネットを揺らしていく。特にその2失点が途中から起用されたブンデスリーガーの堂安律と浅野拓磨だったのに対して、ドイツ代表ハンジ・フリック監督のトーマス・ミュラー、イルカイ・ギュンドアンの交代も、この流れを変えることへの後押しとなっていく。

 確かに長期離脱明けのミュラーの交代はさておき、それまで戦略家として説得力のあるパフォーマンスをみせていたギュンドアンを、いったい何故フリック監督は下げなくてはならなかったのか。それは理解に苦しむ交代であり、いずれにせよパワーバランスが崩れた結果、試合は明らかに日本代表の流れに変わり、混乱に陥ったドイツ代表から立て続けに5回チャンスを掴むと、一気に試合をひっくり返してみせたのだ。

 まだワールドカップが終わったというわけではない。まだ残り2試合でグループリーグを自力で突破する可能性は残っている。だがそれでも日曜日に控えるスペイン代表戦が、ドイツ代表にとって今回のワールドカップでのグループリーグ突破を占う最終決戦ということになるだろう。「残酷なほどの失望感」に襲われたことが、逆にドイツ代表の目を覚させ、奮起へと繋がることを願ってやまない。

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