2023/01/21

ルディ・フェラーの復帰にみる、ドイツ代表の現状と未来予想図

©️IMAGO/Schüler

 母国開催となるユーロ2024年までルディ・フェラー氏は、ドイツA代表とU21代表のマネージャーとして、1年半に渡りチームの立て直しに全力を注ぐことを決意した。確かにフェラー氏はそのマネージャーを選定する役割を担うタスクフォースに、ノイエンドルフ会長やヴァツケ副会長、ルメニゲ氏やカーン氏、ミンツラフ氏らと共に参加したメンバーの1人だ。

 そこでは18年の任期を経て退任したオリヴァー・ビアホフ氏の職務の引き継ぎとして、複雑な選考プロセスの末に、最終的には直感的に”シンプル”な答えに辿りについたことをヴァツケ氏は語っている。「フェラー氏は当初、もっと他に適任者はいないのか?と聞いていた。(決してフェラー氏は当初乗り気だったわけではないが)集中的な話し合いの結果で、彼はこの仕事を引き受ける決断下してくれた」

 現役時代ではドイツ代表としてW杯優勝を果たすなど活躍したフェラー氏は、2002年の日韓ワールドカップでは準優勝に導いており、さらにクラブシーンでも長年にわたってバイヤー・レヴァークーゼンのマネージャーを務めてきた経験値がある。それを活かして母国開催のユーロ成功を願っており、「このチームはまだいいチームだと思っている。1年半に成功を収められるだけの。それが私の中にある信念であり、タイトル獲得に向けて共に戦っていく」と決意表明を行った。

 ただそれは過去ワールドカップ2大会や前回のユーロなどを踏まえて、大胆な目標とはならないのか?「自分たちを必要以上に小さく見せる必要などない」とフェラー氏。むしろそれとは異なるアプローチこそ求められているとしており、例えばモロッコやクロアチア、最終的に世界の頂点にたったアルゼンチン代表チームなどをその例としてあげている。ただ何よりの懸案事項はファンを取り戻すことにあることを強調。

 いずれにしても前任者のビアホフ氏とは随分職務内容は狭まるものとなっており、既存のタスクフォースはひとまずこのまま継続。この後どのような体制で臨むべきであるかは、予定外で延長となった前述のタスクフォースに加え、フィリップ・ラーム氏、アレクサンダー・ヴェーレ氏、ハイケ・ウルリッヒ氏、セリア・サジッチ氏らによるワーキンググループと共に、これからも継続して話し合われる予定だ。

フェラー氏起用にみる、今後のドイツ代表への期待点

 サッカー強豪国と力の上では遜色がないという言葉など、これまで様々な役職で活躍を続けてきたフェラー氏の言葉は、今冬のカタールW杯にいた担当者らよりも明確で、理解しやすく、また選手に自信をもたせてピッチに送り出すものだ。このように62才のフェラー氏はこれまでの経歴や権威、そして信頼性というものを直に体現する存在であり、シンプルなメッセージで物事の本質を突くことができる。

 例えばドイツ代表に欠けているものは?「情熱、チームスピリット、守ろうという絶対的意思」と聴くものを直感的に訴えるものであり、そういう人材は連盟には十分にはいない。時に内務大臣に対してさえ、カタールでは「少し距離をおいた方が良かった」との批判も言えるほどに。

 また非常に広範囲にわたったビアホフ氏の職務範囲のうち、ユースやDFBアカデミーの改善に向けてタスクフォースのメンバーが取り組むこともまた朗報だ。時代の進歩はアカデミーの中では当然ながら高いレベルで追求されつづけていくものであり、ただその一方で時代を超越したものをそこに組み合わせた時にはじめて、その有益な効果というものが生み出されるということ。

 そのピントがずれると不具合が生じる。例えば「対人戦でしっかり勝利すること。それがないとはじまらない」ものであり、ドイツの美徳である「対人戦に臨む姿勢」をもつことこそ、フェラー氏はあらゆる部分で推し進めていくものだ。それは短期的ではなく、持続的に。あとはそれを風土としてどう取り入れられるかは、全て現場の選手たちの双肩にかかっている。 

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