2023/01/29
年明け3ドローのバイエルン、カーン代表「馬力がない」

©️IMAGO/MIS
アイントラハト・フランクフルト戦でも痛み分けを演じ、これで年明けから3試合連続ドロー発進となった、バイエルン・ミュンヘン。試合後ユリアン・ナーゲルスマン監督は決して躊躇いをみせることなく、「勝たなければ自信など高くもてるはずがない」と、スカイとのインタビューにてコメント。「そのために我々としては、まだまだ改善しなくてはならない点が数多く存在する。とりわけ大きいのは、プレーにおける”加速性”だ」と明言した。
つまりはこれまで対戦したライプツィヒ、ケルン、そして今回のフランクフルトのように、深い位置に構えるチームと対峙した際に切り札となるのが”スピード”であり、それが現在のバイエルンには欠けてしまっているということ。「我々はウィングばかりを使ってプレーしている。センターはほとんど使っていないんだ。これといったパフォーマンスを我々自身が見せることができていない」と指揮官。そして「結果が出ないことで、今度は結果による危機的状況が生まれる」という悪循環に陥っており、「このままでは良い結果などでる流れにもない」と言葉を続ける。
しかしながらこれからバイエルンではどうしても”結果を出さなくてはいけない”、重要な一戦が続々と控えているところだ。まず直近ではドイツ杯16強1.FSVマインツ05戦であり、特にホームのマインツは厄介なチームの1つ。もしも今年のここで早期敗退を喫することになれば、その後に迎えるチャンピオンズリーグ16強パリ・サンジェルマン戦に向けた勢いという点でも陰りがでてきてしまうだろう。「ビッグマッチまでの時間があまりに残されていない。でもどこかでスタートをきらないと。ただその一歩目というのが何よりむずかしいんだ」
ミュラー「僕たちには前進あるのみ。」
そう、王者バイエルンには時間がない。そして王者バイエルンがみせるべきパフォーマンスは、圧倒的なものじゃなくてはならない。そのためにはオリヴァー・カーン代表が指摘する「ピッチ上で発揮できていない馬力」を取り戻していかなくてはならない。同氏の目からみて今のバイエルンは、本来あるべき姿を見失ってしまっている。ただそれでも「こういう状況にシーズン終盤に陥ってしまうよりは、この段階で難局を迎えた方がいいと思うんだ」と強調。「だが問題が山積みであることに代わりはない。今回のマインツ戦ではよほどのアクセルを踏み込まなくてはならないだろう」と選手たちに奮起を促した。
「もちろん打開するきっかけにしたかった」と悔しさを滲ませたトーマス・ミュラーは、今年最初の先発出場でアシストを記録するも「とても残念だし、最悪な気分だよ。これを怒りのエンジンに点火していきたかったけど。でもフランクフルトは本人たちは聞きたくないかもしれないが、欧州でもかなり評価されているチームだからね。」と説明。「それでも僕たちには前進あるのみ。まだ首位にはいるけどリードは失われていっている。そこで慌てたところで仕方がない。ちゃんと分析をして、気迫を取り戻し力の限りをピッチで尽くせるようにすること。今まで通りのことをこれからもしていく」と意気込みをみせている。
カーン代表「ノイアーの姿勢は見事」
チームを鼓舞しているのはなにもピッチ上の選手だけではない。今冬に脛骨と腓骨の骨折で長期離脱となるも、精力的に回復に努めるマヌエル・ノイアーは一方で、バイエルンが敢えてヤン・ゾマーという強烈なライバルを獲得するという判断を下したことについて、むしろそれを後押しする姿をみせており、カーン代表は「こういう決断を下すしかないクラブの事情をうまくくみとってくれる。その観察眼は見事なものだ。彼の人間性の素晴らしさを示すものだね」と評価。
またここまでのノイアー自身がみせている回復自体も「全てが非常に良好だ。予定通りに進むと前向きにみている」と明かしており、信頼するタパロヴィッチGKコーチが「クラブとの方向性の違い」から急遽退任になるというさらなる逆境にあっても、決して挫けることなく「これまで数々の栄冠を手にし、また野心的なマヌエルが、再びその力を取り戻すならば世界屈指のGKになるだろう」と信頼感を強調した。