2023/03/24

テル=シュテーゲン、ノイアーとの比較を返答したゲッツェに「うまいこと言うね!」

©︎Getty Images

 マリオ・ゲッツェが落ち着いた様子で座る中、この日のドイツ代表の記者会見に出席していたもう1人、マーク=アンドレ・テル=シュテーゲンは、少し険しい表情を浮かべていた。ちょうどその時に記者から「負傷中のマヌエル・ノイアーと、そしてテル=シュテーゲンのどちらが攻略するのにむずしいと思うか?」との質問が飛んできたのである。それでもゲッツェは冷静に「どちらのことも長いこと知る仲だし、それにどちらもワールドクラスの選手だからね。比較するのは難しいかな」と返答。そんな同い年の言葉に、テル=シュテーゲンは「うまいこと言うじゃないか」と付け加え、二人は大きな笑顔をみせた。

 バルセロナのゴールキーパー、マルク=アンドレ・テル=シュテーゲンは、今シーズン欧州リーグでは苦戦を強いられたものの、スペイン国内タイトルでは二冠の可能性を掴んでいる。最近のレアル・マドリードとのクラシコでの勝利により、チームは12ポイントのリードを築いており、その中でテル=シュテーゲン自身はわずか9失点に留め、すでに19回の無失点試合を達成しているところ。更にコパ・デル・レイではレアル・マドリードに初戦で勝利しており、ここにきてドイツ代表でも代表戦期間中にノイアーの代わりに背番号「1」を背負う機会を得た。このままテル=シュテーゲンとしてはこの自信に満ちた状態を維持し続けていき、ドイツ代表においても先発ゴールキーパーとしての地位を確立したいことだろう。

 同選手は、「聞かれたから答えただけだよ」とそっけない反応を示しながら、ノイアーとの正ゴールキーパー争いについて、特に大きな言葉を選ぶことはなかった。ただ、「代表の仲間」としての立場を重んじ、ノイアーが負傷した際にはすぐにお見舞いのメッセージを送ったことを強調。それでも内心では、ドイツ代表の正ゴールキーパーの座を獲得する野心を抱いていることは間違いない。いつかノイアー時代も終焉が訪れる。できればそれをドイツで開催されるユーロ2024で実現させたいことだろう。「自分の目標を明確に定めてきたし、これからも一心不乱にそのことを追い求めていくため、全力を尽くす覚悟だよ」とテル=シュテーゲンは宣言。フリック代表監督も強調したように、あくまでこの世界はパフォーマンス面で判断されるべきで、その絶好の機会を代表歴11年目にしてようやくそれを掴んだのだ。

 テル=シュテーゲンが2012年5月に代表デビューを果たした際、5失点という最悪の結果を残してしまった。だが彼にとってそれは「奮起」するポイントとなっており、その後はクラブシーンでFCバルセロナの先発GKとして、長年にわたって活躍。これまでの間で家族を持ち、この街とクラブに根付き、時には挫折も経験しつつ、人間として一回り成長を遂げてきた。「あの代表デビュー戦なんて特に容易なものではなかったけど、でもそういう経験も含めて自分を高める糧となるものだよ。選手としてだけでなく、人間的な部分においてもね」とテル=シュテーゲン。きっとその大きな挫折の1つは、ノイアーの負傷で先発濃厚と見られながら、結局はベンチでGL敗退を見守ったロシアW杯も含まれていることだろう。「選手として最大限の成功をおさめたい」と改めて意気込む同選手は、今回こそ手にしたこのチャンスを活かして来年のユーロに先発で参加したいところだ。「あとは家族と自分が健康であること。それで完璧だね」

アジアレストランで決起集会

 その一方でクラブシーンで暗雲が立ち込めているのが、マリオ・ゲッツェ。アイントラハト・フランクフルトではCL敗退、グラスナー監督がトッテナムの後任候補として浮上し、またヘルマン取締役ら首脳陣の問題報道などが浮上。「監督と話をしているわけじゃない」というゲッツェは、「噂はよくある事だし、そう言うことにあまり口は挟みたくないんだ。最終的には常にクラブ、監督自身が決めることだし、いろんな要素も絡んでくるから。」とコメント。「今はシーズン中で別のことに集中している。そのうちまた明らかとなるだろう。グラスナー監督は少なくともまだ1年契約を残しているし」と述べ、「僕たちにとってはシーズン通して好調さを維持することが大きな挑戦であり、最近はそこまで良い状態をキープできていないんだ」と語った。

アジアレストランで決起集会

 フランクフルト近郊にあるマインツで開催される今年最初の代表戦を3日後に控え、ドイツ代表の選手たちは監督やコーチ陣抜きで、フランクフルト市内にあるアジアレストランで決起集会を開いたという。木曜日の会見に出席したマーク=アンドレ・テル=シュテーゲンは、「新しい選手たちもいることだし、グループとしてさらに結束を高めるため時間を使おうと話したんだよ」と説明。

 特にフレッシュな力を加えたいと考えるフリック代表監督は5人の初招集を含む、多くの新しい顔を加えており、隣に座っていたマリオ・ゲッツェも「新しいエネルギーを加えることも大切なこと。それが僕たちにもチームにも好影響をもたらしていく」と説明。テル=シュテーゲンは「チームとしてうまく機能していくことを期待している」と強調した。

 ちなみにゲッツェが冗談めいて口にした「飲み会」のようなものも特になく、無論この日の会見で気だるさなど微塵もない。ただ宿泊地を離れ「チームとして行動を共にすることも大切なことさ。ただそんなに長時間だったわけでもないよ」とテル=シュテーゲン。レストランでは最後の「守り手」として、テル=シュテーゲンは最後にレストランを後にしたようで、「たぶん他の選手より30秒あとくらいかな。」と振り返っている。

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