2023/03/26
独誌キッカー解説:新システムがもたらした勢い、旧態依然の決定力不足

©︎IMAGO/Mika Volkmann
先日にドイツ・ニュルンベルクにあるキッカー本社を訪れたハンジ・フリック代表監督は、今回の3月の代表戦期間に向けて、さまざまなことを試していきたいと語っていた。そしてその言葉通りに今回のメンバーは初招集5名を含むフレッシュな顔ぶれとなっており、さらにシステムについても新たに4−4−2を採用。2トップの背後には2人の攻撃的なテクニシャンを2枚並べている。
早速そのお披露目となった土曜夜のペルー代表戦では、ドイツ代表は意欲的なプレーを果敢にみせていき、PKこそ外したものの先制点のお膳立て追加点の起点になったプレーなど活躍をみせたカイ・ハヴェルツは、それまで見いだせなかった自分の場所をようやく見つけたかのような生き生きしたパフォーマンスをみせた。さらにそのいずれもネットに沈めたニクラス・フュルクルークは改めて、1年後に迫った母国開催のユーロに向け貴重な大型FWとしての存在感を改めて見せつけている。
また今回の4ー4−2が今後を楽しみにさせる理由のもう1つが、選手層に厚みが生まれる点が挙げられるだろう。たとえばこの日に先発したハヴェルツとヴィルツという攻撃的MFについては、今回不参加となったギュンドアンやムシアラを起用することが可能で、またフュルクルークと2トップを形成した快速FWヴェルナーについても、同じくスピードに長けたFWニャブリが控えている。
しかしながらシステムだけで、そう簡単に解決しない問題もこの日の試合では露呈することに。今冬のカタール・ワールドカップでも見せてしまった、決定力不足だ。前半ではチャンスをしっかりとネットに沈めていたドイツ代表だったが、後半に入ると悪癖が再び顔を出し、最終的に試合が危ういものにならなかったのは守備陣の踏ん張り、そして相手がそこまでの強豪国ではなかったところにも救われた感は否めない。その点でいえば火曜夜にドイツ代表では、今回とはまた異なる課題ベルギー代表との、大事な腕試しの場がまた控えているといえるだろう。