2023/04/12
グアルディオラ監督、バイエルンに初戦快勝も「この試合で10歳は老けた」

©︎Getty Images (3)
たとえ3−0、いや5−0、7−0で初戦を制したとしても、「すでに次のラウンドに進出したようなもの」と公言するような監督はいない。それは昨晩にバイエルン・ミュンヘンから3−0で勝利をおさめた、マンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ監督も例外ではなく、普段通りの姿勢で「これからどういう戦いが待っているか、それをしっかりと理解している」と、次戦となるアリアンツ・アレナでの戦いにむけて手綱を締めていた。
「そこで低調なパフォーマンスを見せて終えば、2・3点は一気に取られてしまうだろう。それを私は知っているし、選手たちも同様だよ。確かにこれは素晴らしい結果ではあるけども、それでも自分たちの強みをしっかりと活かして戦わなくてはならない。バイエルンがもつメンタリティやクオリティの高さはわかっているんだ」ただマンチェスター・シティは2016年夏からこれまで、3点差以上で敗れたことはわずか4度しかなく、相手はバルセロナ(0−4、in2016)とエヴァートン(0−4、in2018)、リヴァプール(0−3、in2018)、レスター(2−5、in2020)。逆にいえばここ3年は1度もない。逆にバイエルンも欧州の舞台ではこの条件下で3点差以上の挽回に8度挑み全て未勝利と、いかにこのレベルでの戦いにおいて困難なものかが見て取れる。
試合後にバイエルンのトゥヘル監督は、0−3という結果にもかかわらず「おかしく聞こえるかもしれんがね、今日は楽しめたし我々は前に向かっている」と強調していたが、グアルディオラ監督もまた同様の見解を示しており「余裕などなかったさ。感情を爆発させていたし、今日で10歳は老けたんじゃないか。バイエルンには確かに得点チャンスはあったんだ」とコメント。だがバイエルンはそこでミスにより自滅する結果となり、逆にマンチェスター・シティはそれをうまく利用した格好で「60分までは本当に接戦だったんだ。多くの場面でむしろバイエルンの方が優位に進めていたし、でもそこで2点目が決まったことで我々は救われたよ」と振り返る。「アグレッシブさを失わなかったことが報われたんだ」
カーン代表「ブンデスリーガに気持ちを切り替えないと」
バイエルンのカーン代表も、あくまでサッカーはその結果で推しはかられるものだと理解しつつも、それでも「区別して考えるべき」との見方を強調。チャンスを手にしながらもミスによる自滅という結果には「これほどの高いレベルでは、えてしてそういうものなのだよ。これほどのチームを相手にしたときは、1つのミスがまさに命取りとなる。0−2の場面などのようにね。あそこから我々は大きな問題を抱えながらのプレーとなってしまった」と総括。
その結果でCL4強進出の希望さえも打ち砕かれてしまった「今は何もかも嘆いたところでしょうがない。リーグ優勝のチャンスは十分にあるのだし、あと一歩のところまで来ている。逆にここで思考停止状態になるようなことは避けなければ。土曜日からすぐに取り戻していかないと」と言葉を続けた。「確かに次戦も残されているが、いい感覚は持てないさ。それでもサッカーでは信じられないことも経験してきたし、この試合で全力を尽くす義務があるよ。あらゆる手を尽くして、ファンの皆さんにがっかりして諦める姿ではなく、勝ち進めるように全力を尽くしている姿を見せるようにしていきたいね」
キミヒ「途中まで良かっただけに悔しい」
確かに現状についてはゴレツカ(「あまりに残念なスタート」)、ミュラー(「本当に悪いアウェイの結果」)、トゥヘル監督(「不可能」)と暗い言葉が列挙しつつも「でもね」とパフォーマンス自体は胸をはる傾向は見受けられており、ジョシュア・キミヒも「(0−2までは)僕たちが上回っていたと思う。70分くらいまでは本当に良かったんだ。だから余計にこの結果は残念でならない」と説明。ただ「本当に良かった」という言葉にはキミヒも違和感を覚えたのだろう「いい感覚」と言い直して、「シティには翻弄されなかったし、うまくコントロールできていたよ。スペースもうまく見つけられていた。(ニャブリのCF起用は)かなりよかったと思う。でも絶好機までは見出せなかったよ。」とまとめている。
トゥヘル監督、ウパメカノを擁護「まだ若い」
ただそこで「2点目を奪われたことで自信は失われ、盛り上がったせっかくの流れも変わってしまった」(トゥヘル監督)原因になったのが、ダヨ・ウパメカノによるジャック・グリーリッシュに許した致命的ロストだ。「本来であればGKと一緒にプレーすればいいだけ」だったにもかかわらず、このミスによって「今日の試合は台無しとなってしまった」わけだ。ただ同時に指揮官は「彼は若い」と擁護しており、「いかに経験豊富な人間であってもあってはいけないミスはいつかするもの。彼にとってはそれが今日だった」とコメント。これまでのように今日も「非常に力強い」プレーを見せており、「リスクをかけた2・3の決断を除けばね。」とトゥヘル監督。「前を向こう。これが彼にとっての最後のミスとなることはないと語った。
グアルディオラ監督、ベルナルド・シウバに惜しみない賛辞
逆にマンチェスターCではこの日にマフレズと先発予想が割れていた、ベルナルド・シウバの起用が大成功。バイエルンのデイヴィースを翻弄し続け、先制点のアシストにつづきダメ押し点となる2−0の追加点もマーク。それだけでなく8度のタックルと6度のボール奪取、3度のドリブル突破など攻守共に存在感をいかんなく発揮しており、グアルディオラ監督も「これまで指導して気なかでも最高の選手の1人。とても特別な選手で、ボールの有無に関わらずプレーや全てのアクションを完璧に理解している」と絶賛。「彼にはただポジションを伝えるだけでいい。こういう試合ではとても重要な存在だよ。(俊足のデイヴィースにも)ポジションを読む力があり、最近はちょっとみせていなかったが決定力も持ち合わせているんだ」と惜しみない賛辞をおくった。
ギュンドアン「今日の試合はとても楽しかった」
主将のイルカイ・ギュンドアンはキッカーに対して、「今日はとても楽しかったね。通常は僕らの相手は常に徹底して守りを固めてカウンターだけを狙ってくるから」と述べつつも、「この勝利で決勝を夢見るような過ちは犯してはいけないよ」と警鐘。しかしながらそれと同時に「でもここにきてパフォーマンスのピークにきていると感じるのは基本的にはポジティブなことだよ。」と胸を張っており、「今季の3冠達成も十分に可能な範囲だ」とタイトル総なめに向けての自信ものぞかせている。