2023/04/20
バイエルン:サネ「あれは決めないと」、奇跡の序章のはずが問題の再確認に

©︎IMAGO/Revierfoto
水曜夜に行われたチャンピオンズリーグ準々決勝セカンドレグでは、初戦をマンチェスター・シティの前に0−3で落としてたバイエルンとしては、ホームでの奇跡実現のために一刻も早く得点を決めて自信を高めたいところだった。そして実際にその絶好機が前半17分に訪れており、もしもムシアラから提供されエデルソンと1vs1になったリロイ・サネが、そのボールを枠に外すことなく沈めていたならば、その後の展開は面白いものに変わった可能性はあっただろう。戦前にトーマス・トゥヘル監督が示していた幸運の女神も、この前半ではPKを獲得したエルリング・ハーランドが外すなど味方についていた。
しかし最終的にはバイエルンはあまり意味のないPKを1つ、この2試合で決めるのが精一杯という決定力不足を改めて露呈する結果となっており、”BT Sport “に対して「あそこで先制点を決めなくてはいけなかった」と悔しさを滲ませたサネは、「今日の試合では僕たちはうまく試合をつかめていたと思うし、中盤ではかなりボールを奪うことができていた。もしもあそこで決めていればどうなっていただろう、それを見てみたかったのだけど・・・」と肩を落としている。
その一方で先日の敗戦ではロッカールームにてサネに暴行したとされるサディオ・マネが、そのサネと64分にハイタッチで交代する姿が見受けられており、また古巣マンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ監督から試合後に慰めを受ける様子も。「本当に腹立たしさを感じる。自分たちがこの日にみせたプレーは誇らしさもあるが・・・。このメンタリティは失うことなく、これからリーグ戦に集中していかないと」と前を向いたサネは、改めてそのマンチェスター・シティの凄さについて「そうだね」と認める発言をおこなうと、 「誰でも彼らのプレーを好ましく思っていると思う。祝福の言葉をおくりたいね」と言葉を続けた。
ミュラー「いくらチャンスメイクに長けていても・・・」
確かにバイエルンは2試合を通じてチャンスを手にしながらもそれをものにすることができず、そしてダヨ・ウパメカノをはじめとして守備陣は数多くのミスをおかしており、マンチェスター・シティはチャンスをちゃんと得点に結びつけていった。トーマス・ミュラーは「結局ゴールを決めれないんだから。いくら頑張って、素晴らしいプレーをみせたとしても、全く結果として報われなかった。仕留めるところでの不足がある。チャンスメイクにいくら長けててもね」と総括。さらにジョシュア・キミヒは「初戦の最初25分だけが悪かっただけ。それでも僕らはチャンスをあまりに活かせず敗退は致し方ないこと。特に今日は前半でリードしておかないといけなかったはずだ」と述べた。「なぜ決めきれないかは難しい。自信の部分もあるだろう。うまくいかないと考え込んでしまうし運もあまりない。それでも信じる気持ちを失わずにハードワークを続けて手繰り寄せていかないとね」
グアルディオラ監督「バイエルンを上回ったという実感は全く無い」
グアルディオラ監督は、この2試合を振り返って「実際にピッチ上で起こっていたことと、結果はマッチしていない」と指摘し、バイエルンのもつ実力について「フィジカル面、創造性など、私は常にそこで感銘を受けているよ。我々がバイエルンよりも上回っていた、なんて感覚は微塵もないね。それは(昨季準決勝で)レアル・マドリードが我々よりも優れていたというのと同じ感覚」であり、奇しくもその再戦となった来月の戦いを前に「あのとき悔しい思いをした。今はそれをぶつけるチャンスだ」と意気込みをみせている。
ハーランドのPKを唯一止めた男、ルーテがツイート
またこの試合で移籍後8度目のPK挑戦ではじめて失敗したPKを失敗したハーランドについては、「まだ22歳なんだから。彼はまるでマシンのようで、どうしても得点を決めたかっただろうけど、そこから学んでいくものだ」とコメント。ただこちらについてはその後に得点を決めたことや、試合の結果に関わらなかったことも救いとなるだろう。
ちなみに2019年にモルデからザルツブルクに移籍して以降では、ハーランドは25度のPK挑戦で3度失敗。うち枠外は今回含め2回ということになっており、逆にいえば唯一止めたことがあるGKはウニオン・ベルリンのアンドレアス・ルーテということに。そこでベテランGKは自身のツイッターにてこのことに言及し、「他のGKたちにもも追随してもらいたいね」とエールを送った。
バイエルンのPKキッカーは、キミヒが務めていくことに
この試合でもう1つPKでの興味深いポイントとしては、唯一の得点となったPKをジョシュア・キミヒが務めていたということだった。キッカーから「自身が蹴るという合意があるのか」そして「次も自身が蹴るのか」との2つの質問に、キミヒはいずれも「イエス」とシンプルに返答している。つまりは今後バイエルンではドイツ代表ボランチがPKキッカーを務めることになったのだ。昨夏にレヴァンドフスキが移籍して以降、これまでマネ、シュポ=モティング、ニャブリが担当。ちなみに過去にキミヒが特にPKでこれといった印象的な場面があるわけではなく、2016年のドイツ杯決勝ではPKを外したもののチームは優勝。同年のユーロでは準々決勝でイタリア代表とPK戦となり、勝利がかかる大きな重圧の下できっちりと決めて勝ち抜けに貢献している。