2023/05/10

ギュンドアンとリュディガー、クラブを超えた友情も「この90分間はお預け」

©︎imago images/Shutterstock

 イルカイ・ギュンドアンとアントニオ・リュディガー。ともにドイツ、そしてイングランドと共通のリーグでプレーし、またドイツ代表では共に戦う2人だが、しかしながらクラブシーンにおいて一度も2人が同じチームに所属したことはない。それでも両者は互いの友情を育んでおり、「彼と一緒にいると、いつもいろんなことがあるんだ」とギュンドアン。それはユーモア、陽気さといった部分であり、まさにそれこそ単調になりがちなサッカー人の生活として重要な部分にもなってくるものである。「トニはプロとして規律正しい一方で、適切なタイミングでの緩みもちゃんと持ち合わせている。深刻に考えすぎずに笑顔にうまくもっていけるんだ」とギュンドアンは評価。無論それはプレー面にも及ぶものである。「ドイツ代表でのトレーニングでは、多くの時間を一緒に過ごして様々なことについて意見交換を行なっているよ」

 そしてそのリュディガーはいまや、レアル・マドリードの一員としてギュンドアンの前に立ちはだかっている。「彼がここにくるまでどれほどの努力をしてきたか。いまや世界トップのセンターバックの1人。ブンデスからイタリアに渡るとき、彼があそこまで見事な成長を遂げるなんて、思っていた人はそういなかったと思うよ」一方のリュディガーもまた「イルカイは僕がいままで一緒にプレーしてきた選手の中で、最もクレバーな選手だ」と評価する。「常に先のことをうまく考えており、他のワールドクラスの選手ほど得点やアシスト数が多くなくとも、イニエスタにもそれはいえることだ。イルカイは周囲のチームメイトをよりよくする存在で、ロッカーでも決して声を荒げる選手ではないけれどだからその控えめさが若手からの共感を生んでいる」

 クラブの垣根を超えたこれほどの友情というものは珍しく、また代表としてはとりわけ1980年代などは、あまりそういった関係性が聞かれることはなかった。だがそれはいまや文字通り過去の話である。リュディガーは「イルカイはとても内省的な性格で、成功しても決して自分を見失うことがない。それにプライベートな話題でも楽しく会話できる」と互いの信頼について強調。しかしながらそれは「火曜日の試合前と試合後は、またそうなるだろうけどね」と付け加えているように、これから迎えるチャンピオンズリーグ準決勝による両者の対決では「ピッチでは別の話というのは皆も知っているだろう。目の前にイルカイがいるなら倒すのみ」だ。これにはギュンドアンも「僕らの友情はひとまずこの90分間はお休みだよ」というように、準々決勝でバイエルンのキミヒにもみせたように、ドイツ代表での仲間という意識は皆無なプレーをみせることだろう。果たして今回、最後に笑顔をみせるのは、どちらのドイツ代表であろうか。

クロース、ルーニー氏の発言にも「気にならない」

タイムズ紙でコラムニストを務めるウェイン・ルーニー氏は、今回の対決の予想について「シティはただレアルに勝利するだけでなく、まさに打ち負かしてしまうことだろう。」と予想。「もちろん間違うこともあるし、レアルほど自分たちの考えを見事なまでに打ち負かされる相手もいない。ただそれでも今のシティは別次元と呼べるほど素晴らしい。開幕からこの優勝の可能性を感じてきたし、ここのところはさらに見事な発展を遂げてきる。にわかに信じがたいほどのサッカーで、絶好のタイミングでその調子のうまく上げてきたんだ」と持論を展開しているが、だがこの言葉にも「1年前も同じことを言われたね」と意に介していないのが、トニ・クロースである。「リヴァプールだってそうだったし、最終的に僕たちが優勝している。」と反論。「1年前に言ってたのはルーニーではなかったかもしれないし、そもそも僕はルーニーのことをリスペクトしている。ただそれでもあまり気にはならないね。これ以上ないほどにモチベーションが上がっているものだから」と言葉を続けた。「これまで僕らはこういう戦いを数え切れないほどこなしてきたから。確かにペップのチームは常に上を目指して強化をはかっているし、ハーランドが50得点決めてることも悪いことではないよね(笑」

ペップ「去年とはまるで違う戦い」

 当然ながらレアルのカルロ・アンチェロッティ監督は「ハーランドは本当に危険な選手であり、とても印象的なクオリティをみせているよ」と高く評価。「ただ彼だけに意識がいくようではいけないし、彼だけ止めればいいわけではない。チーム全体を止めにかからないといけないし、そうしてはじめて勝利が得られるものだと私は考えている」と説明。昨年で撃破した自信も少なからずあることだろう。ではマンチェスターCは?「まったく別物の試合であり、過去に起こったことは、あくまで過去のものでしかない。我々にとって、これは新しいチャンスなのであり、再戦のためにここにいるのではない」とグアルディオラ監督。特別な意識をもつのではなく、「この大会で優勝を果たしたいのであれば、最高のチームを倒していかなくてはならないものだ。そしてレアル・マドリードはこの7・8年で最高のチームであり続けるクラブだよ」と述べながら、改めて悲願のチャンピオンズリーグ優勝に向けて、「ぜひとも優勝を手にしたい。昨年と意欲に違いなどない」と意気込みをみせた。

ドイツ代表 ドイツ代表の最新ニュース