2023/09/10
ドイツ代表が日本代表から返り討ちに、攻めでは決め手なく、守ってはミス連発

©︎IMAGO/Nico Herbertz
本来であれば土曜夜にヴォルフスブルクで行われた今季最初の親善試合では、ドイツ代表としては昨冬カタールW杯で屈辱のGL敗退を喫した初戦の相手、日本代表を相手に来年6月に控える自国開催のユーロに向け、巻き返しの開始を告げる狼煙を上げる・・・はずだった。しかしながら最終的にはドイツ代表は攻撃面では創造性に欠け、そして守備面では非常に多くのミスを露呈し、1−4での返り討ちにあっている。しかも代表戦3連敗は実に1985年以来となる、38年ぶりとなる大失態でもあるのだ。(当時はイングランド、メキシコ、ソ連に敗戦)
試合前にイルカイ・ギュンドアンは、「もはや親善試合など僕たちには存在しない」と、貪欲に勝利を目指していく考えを強調。夏に宣言していたようにフリック監督はそのギュンドアンを軸にシステムの変更を行い、ギュンドアンとヴィルツをCMFに据えて、右サイドバックにジョシュア・キミヒをスライド。左サイドバックにはCBを本書とするニコ・シュロッターベックを配置し、CBコンビはアントニオ・リュディガーと代表復帰を果たしたニクラス・ズーレが務めた。特にこのシステムはキミヒがビルドアップ時には中盤に入るなど、マンチェスター・シティでグアルディオラ監督が行ったアプローチを踏襲。さらに代理キャプテンをキミヒではなく、ギュンドアンにしている点からもその方向づけが見て取れる。
一方の日本代表は適宜、高い位置からプレスをかけていきながら、ボールを奪取すると素早く前線へと展開。そして開始11分に菅原が最初のクロスを右サイドから供給すると、そこに駆け上がってきた伊藤純也がリュディガーとの競り合いで一歩早く制して先制ゴール。しかしその8分後にはビルドアップからシュロッターベック、ギュンドアン、ヴィルツと繋いで、最後はゴール前のサネがファーサイドに沈めて同点に。だがドイツからみてこの左サイドの荒れた展開はその後も続き、菅原に思うようなプレッシャーをかけられずにまたも伊東に入れられるも、今度はミート仕切れなかったがこれが上田の足にあたって幸運な勝ち越し弾(22分)。
またドイツもサネがオフェンス面では奮闘。スピードに乗った2度のドリブルで危険な状況を作り出すも、ヴィルツのシュート(30分)もギュンドアンのシュート(33分)も枠外。その後は両軍ともに攻めあぐねた状態が続き、迎えた後半41分。シュロッターベックのパスミスから上田がゴール前にに独走するも、ここはテル=シュテーゲンが立ちはだかりことなきを得る。また後半立ち上がりではそのテル=シュテーゲンがクリアミスを犯したが、伊東が放ったシュートは枠外。さらにその直後には上田との交錯プレーで相手を倒すリスクをおかすも、ボールは守田の足元に転がったがこれもネットを揺らすには至らない。54分の鎌田、W杯で悪夢のゴールを決められた浅野、そして三笘もテル=シュテーゲンに襲いかかるも、最小失点差のまま持ち堪え終盤戦へ。
日本代表は後半途中からシステムを5−4−1に変更し、またドイツ代表はミュラーやブラントらを投入するなどの対応もみせていったのだが、相変わらずサネのみが得点への脅威としかなれず、攻撃面では創造性にかけ、守備面ではミスを連発。試合はそのまま1点差を追いかけるドイツが押していく形でロスタイムに入るかに思われたが、その直前に浅野拓磨、そしてその数分後にはスローインから何故か完全フリーとなっていた田中碧がダメ押し弾。再起をかけたその最初の試合で、奇しくもワールドカップ初戦の相手であった日本代表に、ドイツ代表はこの1年で2度目となる屈辱の敗戦を母国のファンたちの前で露呈する結果となった。
フリック監督は続投を強調も・・・
試合後、「非常に失望した」というフリック監督は、「このようなコンパクトなディフェンスをみせるチームに対する術を持ち合わせていない」と述べ、「まともにやりあえるチーム状態ではなかった」ことを強調。「日本代表にはしっかりとした土台がある」とし、「我々もここで目を覚まして取り組まないと」と警鐘。具体的な部分は避けつつ、「改善点すべきところは多々ある。ただ責任追及をはじめてもしょうがない。いまは頬を叩かれたのだし、これから共に乗り越えないと」と言葉を続けている。そして自身の進退については「サッカーにはいろんな方向性があるから。ただ我々としては準備にむけたあらゆる策を講じている。いま言えることは良い仕事をしていると思うし、私が正しい指揮官であると考えていることだ」と強調した。ただフェラーSDは明言を避けている。」

©︎kicker

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