2023/10/14
初陣を前に、ナーゲルスマン監督「ドイツ代表就任は名誉で光栄」

©︎Getty Images
初陣となる土曜日の米国代表とのテストマッチを前に、現地の米国人記者からの問いへ流暢な英語で返答していた、ドイツ代表ユリアン・ナーゲルスマン監督は、「準備はできていると考えている」と述べ、改めて「このような偉大な国の代表監督となれることは、大変に名誉で光栄なことだ」と強調した。そのため特に指揮官が意識していること、それは2014年ブラジルW杯優勝をピークに続く不振のなかで、いかに選手たちが胸をはってピッチに立つことができるか。来夏に控える自国でのユーロ開催という威信をかけた戦いを前に、「自分の道を信じるため、自信を得られるようにするには何としても結果が求められる」との考えを示している。そこで目指すサッカーは明確だ。早速今回の米国代表戦から「アグレッシブに、自分たちから仕掛けていきたい。これまでのよりも多くの得点チャンスを作っていきたい。一方で失点を避けつつ、カウンターに磨きをかけたい」と指揮官。「そのアプローチが勝利につながると信じている。ただそれがうまくいかないときは、またそのときは別のアプローチも模索していかなくてはならない」
ドイツの未来を託された、ムシアラとヴィルツ
この日の会見で隣に座っていたのが、世界でも最も注目される若手選手の一人、ジャマル・ムシアラだ。幾度も「楽しい」と言う言葉を繰り返したヤングスターは、もう一人の逸材フロリアン・ヴィルツとともに、新生ドイツ代表のオフェンス陣を牽引していくことが期待される。「僕とフローの関係はとてもよくてね、良い友達なんだ。そしてピッチ上では常に楽しくプレーしているし、うまく協力し合って互いをうまく見出しあって、とにかく一緒にプレーすることを楽しめているよ」とコメント。まさにその結束力こそナーゲルスマン監督がチームに求めるものであり、「数ヶ月前にどこかで2人は一緒にプレーできない、みたいなのを目にしたが、私は良いアイデアだと思っているよ」と説明。「2人とも決定力において卓越した才能の持ち主であり、中盤からそのスピードを活かしたゴールへの推進力をもった選手たちだ」と評価しており、「節度は必要だがありのままに、ストリートスタイルを貫いて欲しい。多くの可能性は秘めた選手」であるムシアラには、「節度は必要だがありのままに、ストリートスタイルを貫いて欲しい。多くの可能性は秘めた選手だ」としつつ、ドイツの救世主としての期待がかかるが「彼がそれで潰されるとは思わないね。むしろ誇りにさせていると思う」と精神的な成熟さへの評価も語った。
風邪のキミヒは欠場濃厚
ただ今回のナーゲルスマン監督の初陣では、バイエルン時代の教え子ジョシュア・キミヒは欠場を余儀なくされる。前回の代表戦では右サイドバックとしてプレーした同選手は、ナーゲルスマン監督の初日の練習では再びボランチとして起用されていたものの、その後の2日間の練習は風邪のために参加を見合わせており、「現時点では」と会見の際には前置きしつつ欠場の見通しであることを明らかにした。「朝、そして夕方になると悪化をみせる傾向にあるんだ。ただそれは誰でも経験したことのあることだろうけど」。なお本来ならばイルカイ・ギュンドアンとのダブルボランチが予定されており、それ以外にこの2枠を争うのはバイエルンのレオン・ゴレツカ、レヴァークーゼンで初招集のロベルト・アンドリヒ、そして前回初招集となったブライトンのパスカル・グロース。
ワグナーAC、監督や選手からも高評価
またナーゲルスマン監督の賞賛の言葉は選手に対してのみならず、自身のコーチ陣にも向けられた、ナーゲルスマン監督とともにピッチで積極的な姿勢がみられる、ワンドロ・ワグナーACについて真剣さ、そしてリラックスさを適切に組み合わせてる手腕を評価しているところ。「本当に見事にやっていると思うね。それでいて非常に勤勉家でもあり、理路整然としているんだよ」加えてかつてナーゲルスマン監督の下でドイツ代表へと飛躍を遂げたワグナーACは、かつてのチームメイトであるミュラーらとの距離感の近さも、その雰囲気作りに一役買っているのかもしれない。選手側からも評判で、むしろ外から見るタイプのナーゲルスマン監督の右腕ベンヤミン・グリュックACとの組み合わせからは「本当に変化させていこう、という気概をひしひしと感じせるところがあるね」と、ロビン・ゴセンスはメディアグループ「Redaktionsnetzwerk Deutschland」との質疑応答の中で語った。
ゴセンス、商業化が選手に与える心身両面の影響を懸念
またゴセンスはこのインタビューの中で、サッカー界を取り巻く問題についても言及。 「僕は自分自身について、比較的広い視野をもって見ることができるという自負をもっている。そして現在のサッカーでは、非常に危険な道に足を踏み入れていると思うよ。決して健全なものといえるわけではなくてね」と話し、特に2030年以降のW杯開催地について懸念を示している。「ますます多くのお金、つまり商業化」が進んでおり、サッカー自体のことは横に置かれることが求められるようになっている。それを僕たち自身ももう受け入れるしかないのかもしれない」。同時に選手たちにも高額なサラリーへの批判の声もあがっており、それには一定の理解を示しながら「ただ責任が選手側にあるわけではない」とも強調、「世界で最も人気のある競技をしている、これが契約の中で反映されていることだと思うよ」と述べ、その結果であまりに強いプレッシャーにもさらされることから「メンタル面での問題が起こるけど、それは随分と軽視されがちだ」とも語った。
【アメリカ代表先発予想】Turner – Dest, Ream, C. Richards, Scally – McKennie, de la Torre, Musah – Pulisic, Balogun, Weah
【ドイツ代表先発予想】ter Stegen – Süle, Hummels, Rüdiger, Gosens – Goretzka, Gündogan – Musiala, Wirtz – L. Sané, Füllkrug