2023/11/20
ナーゲルスマン監督、ドイツ初戦で初黒星。敗因は「戦術」と「覇気」

©️IMAGO/Uwe Kraft
代表デビュー戦となった米国代表戦では3−1で勝利するも、続くメキシコ代表戦では2−2と痛み分け、そして今回ドイツ初戦となったトルコ代表戦では逆転で、2−3での初黒星を喫することになったドイツ代表ユリアン・ナーゲルスマン監督。敗因について試合後、テレビのインタビューで「2つの問題」を指摘しており、まずは「戦術面」の問題で喫した最初の失点について「かなり単純に守りで前がかりにいきすごた結果、サネの背後がガラ空きとなりヘンリクスもポジションングが高すぎて」、相手選手を見失った結果を振り返り、もう1つは気迫という部分。「多くの選手たちに関しては良かったが一部は勝利に向けたレベルに達していなかった」とも述べている。
異様な熱気に包まれたベルリンでのトルコ代表戦
実際におよそ7万3000人と完売になったスタジアムでは開始から大ブーイング。トーマス・ミュラーも「ホームはこちらだと示したかったが、時に思うようにはいかないものだね」と肩を落とした。余談だがベルリン警察によれば最大5000人がスタジアムに向かう道中の過程で暴動が発生、92人が拘束されており、71件の「深刻な身体的危害の容疑、規約違反行為、意見組織やテロ組織のシンボルマークの使用、深刻な平和侵害、警備への身体的攻撃など」について犯罪捜査が開始されているという。そんな雰囲気のなかトルコ人の両親をもつ主将イルカイ・ギュンドアンは「先制点を決めた後から僕たちはあまりに意欲に欠けており、20分までにはこの試合を決定づけるチャンスが十分にあった」と指摘。
「とにかく消極的すぎた」ことによってドイツは、本来避けられたはずの敗戦をしかもホーム初戦で味わうことになったのだ。結果的にドイツ代表はニクラス・フュルクルークが同点弾を決めるも、最後は左サイドバック起用で開始前に注目を集め、先制点で幕開けを飾り、そして疑惑のハンドによってハヴェルツが与えたPKが沈められ、ドイツは激動のホーム初戦を終える事に。「こんなこと、決して許されることではない。前半はとくにそうだったね。後半ではかなりよかったと思うけど、でも前半がこの試合の敗因になったのさ」とギュンドアン。
オーストリア代表、ラングニック監督との熱い戦い
これから火曜日に迎える「プレーの質という意味ではトルコ代表よりも上」のオーストリア代表との、しかも敵地ウィーンでの戦いを前にこのレベルでの戦いになれば、この気迫の部分の重要度が増してくるもの。加えてユーロでの飛躍をオーストリア代表は並並ならぬ覚悟で期している。「全ての選手が相手と攻めて対等なレベルにないと。それができて、より高いクオリティのチームが、勝利を収められるようになるものだ」とナーゲルスマン監督。
さらに今回はラングニック監督との師弟対決も見ものの1つであり、2006年にホッフェンハイムのユースの試合でナーゲルスマン氏を知ってから定期的に意見交換をするようになったという旧知の仲は、ライプツィヒに当時SDだったラングニック氏が監督として迎え入れるなど親交を深めていくことに。「同じサッカー観をもつ」2人だったが、ただその直後にSD職を辞したことで一時不仲説もささやかれることに。ただこれは両者ともに否定しており、2年前のレーヴ監督退任時にはナーゲルスマン監督がラングニック氏を後押ししていた。
ハヴェルツの左SB起用の理由
なお戦術といえば、ナーゲルスマン監督は開始前、オフェンシブプレーヤーの左SBでの起用の理由について、指揮官は戦術的に典型的な左サイドバック以上のものを求めていることを挙げており、その要素をハヴェルツがみたいしていることや空中戦での強さも相まっての起用であると強調。実際に数日前から構想を練っていたものだとも明かしており、おそらくロビン・ゴセンスの離脱も、その後押しに。結果的には実際にゴールも決めるなど、「あれはPKじゃない」という不運のジャッジにも泣かされながら「彼は今日もっとも良い選手の1人だった」と高評価。ただし火曜日に控えるオーストリア代表とのテストマッチにおいても、引き続き左サイドでのテストを継続するかについては保留している。