2022/10/09

サッカーの醍醐味が凝縮されていた、今回のドイツ頂上決戦

©️picture alliance / Eibner-Pressefoto

 コロナ禍による無観客開催、一部ビッグクラブらによるスーパーリーグ構想、ワールドカップ開催国カタールの人権問題など、近年繰り返し伝えられるこのような話題からサッカーに関心が薄れていた人たちがいるならば、土曜夕方にドルトムントで開催された『ドイツ頂上決戦』を目にしてくれていたらと願ってやまない。

 久々に8万人の大観衆の前で迎えたバイエルンとの直接対決では、たとえテレビ越しであったとしてもその価値が十分にあったことだろう。それは主に戦術的な部分に関係する。テルジッチ新監督の下でドルトムントの選手たちは頻繁に仕掛けてバイエルンをゴールから遠ざけており、それでもレオン・ゴレツカの強烈なロングシュートがそれを切り裂き、バイエルンが優位に展開しはじめるも、反撃の狼煙をあげたユスファ・ムココや、劇的な同点弾を演出したニコ・シュロッターベックなど若い力が、この戦術にフィジカル的な要素も加えてられていた。

 そのロスタイムでの同点劇は、カーン代表がその悔しさを露わにしていたようにバイエルンにとっては敗北の味わいであり、一方でドルトムントの本拠地シグナル・イドゥナにおける壮絶な盛り上がりは感動の爆発の渦に包まれており、しかもそれを決めたヒーローは最近先発から外され、この日は途中出場からアシストを決めるも同点の絶好機を外す、まさに起死回生から誕生したアンソニー・モデストだった。そしてそれを眺めるテルジッチ監督の表情には、最近父親を亡くしたばかりの感情を垣間見られていた・・・。

 確かに前半終了間際のジュード・ベリンガムのアルフォンソ・デイヴィースに対する、頭部を蹴ったことについて退場処分ではないかと疑問を呈する、バイエルンやナーゲルスマン監督の心情も理解できなくはない。それでもデニス・アイテキン審判員は決して試合を邪魔することなく、自信に満ちた身のこなしで良い仕事ぶりをみせていた。主役が選手にしっかりと与えられたことで、最高のフットボールエンターテイメントが実演されており、多くの人に愛されるこの競技の良さが再認識できる試合の1つとなったことだろう。

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