2023/01/27

ドルトムント:土壇場決勝点で得られた大きな収穫

©️IMAGO/RHR-Foto

 1.FSVマインツ05戦に臨むにあたって、ボルシア・ドルトムントのエディン・テルジッチ監督は、特に守備面の安定化を強く希望していた。だがそれは開始直後の失点によって脆くも崩れ去り、それからしばらくは立て直しもみせたものの、後半からはまた幾度となく不安定な印象を残していた。それゆえ新年を2連勝で飾れたことはまさに幸運がもたらした結果と言えるだろう。「素晴らしい勝利さ、最後の最後で勝ち切れたのだから」と
ユリアン・ブラントは試合後にコメント。「そのために最後まで信じ戦い続ける必要があったし、勝ち切れるという自信を手にできたことは収穫だった。特にセットプレーからというのが大きいよ」と言葉を続けている。

 確かに長かった今冬の大きなテーマの1つであった、セットプレーで結果を出せていることはプラス材料だ。そしてそのブラントからのCKから生まれt決勝点をアシストした人物が、今冬に精巣がんが判明しそれから猛烈な回復を遂げたセバスチャン・ハーラーによるものだったことも加味すれば、なおさら。「みんな彼の病気の話ばかりするけど、どう僕たちに好影響を与えているかの話はあまりされないよね」と、復帰後初アシストに沸く周囲にブラントはそう漏らしたが、「5月から今月まで公式戦から遠ざかっていた」ために今回のベンチスタートとなったハーラーが、「きっと彼は重要な役割を果たしてくれる」というテルジッチ監督の期待に答え続ける限り、病気の話題が「過去」となる日はそう遠くはない。

完全復活へ静かに闘志を燃やすレイナ

 同じくここ数ヶ月に渡り困難な時期を過ごしてきたのが、この決勝点を沈めたジョヴァンニ・レイナだ。同じくハーラーと共にベンチスタートとなった米国代表MFは、今冬に開催されたワールドカップにおいて、準備不足などその姿勢が問題となり代表追放直前にあったことがバーハルター代表監督より語られ、それがその後のレイナの両親との舌戦や過去の話の掘り下げに繋がるなど、アメリカの新聞や雑誌ではこの話題がもちきりになってしまった。しかも失意のレイナはこの冬、長年ケガに泣かされてきた体調面の改善に取り組まなくてはならず、そこでドルトムント側は集中して臨めるよう冬季準備期間から懸命に擁護。テルジッチ監督は彼は常にハードワークをしてきた選手。何も悪いことなどしたことはない」と語っていた。

 その結果としてマインツ戦に続き今回も、「最終的にレイナがきっちり仕事をしてくれた。今回でも決勝点を沈めたということは彼にとって本当に素晴らしいことだし、この勢いがこのまま続いていくことを願っているよ」と目を細める指揮官。一方のレイナは「常に美しくある必要はない。こういう勝利だって最高の気分をもたらしてくれるもの。そんな中でベンチから出場するなら、決定的な役割を果たしたいと思うものだし」と試合を総括し、改めて「いつかはまた先発出場したい。それははっきりとしていることだけど、でもあまり考えすぎないようにしている。練習でがんばっていれば、必ずそのチャンスはやってくるから」と言葉ではなく結果で示していく覚悟をみせた。

ボルシア・ドルトムント ボルシア・ドルトムントの最新ニュース