2023/02/20
一発回答のロイスが示したサッカー観「反骨心」「自信」「向上心」

©︎Getty Images
試合後マルコ・ロイスは、先制点に繋がったアデイェミへのアシストについて、創造性や経験からくる直感など、様々な言葉で表現することも可能であっただろう。だが「あれは本来、ゴールキックになるものだったよ。それくらい正直になれないとね」とミスキックであったことを認めた主将は、改めて「しっかりミートできていなかったけど、カリムがあんなに良いところにいてくれたのはラッキーだったよ」とDAZNに対して若きドイツ代表への賛辞を送った。
ただ残念ながらそのアデイェミは2−0とするマレンの得点をお膳立てした後、早々に負傷のためピッチを後にすることになってしまったものの、それでもこの日の夜のドルトムントの雰囲気は非常に良いものがあり、一時は勝ち点差9にまで開いていた王者バイエルン・ミュンヘンとの差は、ついに0となりブンデス2位への再浮上を果たしたのである。すでにサポーターからは「優勝するならドルトムントしかない」との期待感もチャントに込められているが、ロイスは「タイトルへの欲は誰しも持っている。だからサッカーをするんだ」とその気持ちを汲み自信をみせつつも、「もちろんそこで日々、成功をおさめつづけていかなくてはならない。それが目標となるよ。決して気を抜くことなどなく勢いに乗り続けることが重要なんだ」と常に高みを目指すことを強調。非常にうまくに言葉を選びながら、「僕たちは穴から一丸となって抜け出す努力をしてきた。それを本当にうまくやれたとは思うけど、でも、最近の試合だって必ずしも良かったというわけではない。それでも気分はいいものではあるけどね、成功を得られているから」と述べている。
また脱却という点においては自身についても当てはまる言葉だろう。水曜日のチェルシーFCとの大一番では、ロイスはキャリア初となるチャンピオンズリーグで90分間ベンチで過ごす経験を味わったばかりだ。「水曜日にプレーできなかったことは満足できることではない。もちろんだよ、そうじゃないなら選ぶ職業を間違っている」とここでも反骨心について触れながら、「ただね、負傷による長期離脱から戻ってきた僕にとっては、まず怪我なくプレーできているということ自体に意味があるんだ。それにチーム自体が充実できているんだよ。これから気持ちを引き締めていかないといけないということさ、試合のみならず、練習でもね」とコメント。実際にテルジッチ監督はチェルシー戦後に「重要な選手」と強調したフメルス、ロイスをともに先発起用。その期待にロイスも先制点のみならず、2点目でのシゲルチに対する巧みなフェイント、さらには3点目には2年ぶりとなるフリーキックで自ら試合を締めくくり、背中でチームを牽引する男はチャンスにこの上ないアピールで応えてみせている。