2023/03/24

ニコ・シュロッターベック、年明けからの好調に導いた家族とフリック監督の存在

©︎Getty Images

 この冬の移籍市場が、ニコ・シュロッターベックに大きな変化をもたらした。実際に同選手がSCフライブルクからボルシア・ドルトムントへと移籍したのは昨年夏のこと。この冬に移籍したのは兄ケヴェンで、同じくスイス国境に近いフライブルクから、ドルトムントと同じルール地方を拠点とするボーフムに渡ってきたのだ。本来はボーフムの安定化を期待されての移籍ではあったものの、これがニコの安定化へとつながっていく。ドルトムント加入後はなかなか思うように事は運ばず、また昨冬のワールドカップでは初戦の日本戦で致命的なミスにより敗戦を招くことに。W杯敗退後は「まずは休むことが必要だ」と悔しさを滲ませつつ、年明けからの奮起を誓っていた。

 だがシュトゥットガルター・キッカースU15時代にキャリアの岐路に立たされた時と同じく、ここで家族がニコに救いの手を差し伸べる。「両親はもちろんのこと、いつも僕の支えとなってくれるケヴェンも、あの頃の僕を立ち直らせてくれた。今もあの頃と変わらず、僕は家族に助言を求めたんだよ。そこで兄が冬からボーフムでプレーしていることはプラス材料だ。1日でも2日でも共に過ごすことがあれば嬉しいものだし、気持ちの切り替えになる」そしてそれはボルシア・ドルトムントの年明けからの快進撃という形になって表れた。「僕から見ればまだまだ調子はそこまで高くはないけど、でも今の状況については満足することができるね。チームとしても、また僕個人として」

 確かに意識への変化はすでに芽生え始めている。「もう少しインタビューに答えるのを控え、自分のプレーに集中すべきだったのかもしれない。ただまだ若いし経験の浅さはどうしてもあるもの。微妙なラインだよね。うまくプレーできていれば万事うまくいって、安定感が崩れた途端に生意気な発言として否定的な解釈をされてしまう。外交的な部分は僕の人間としての一部ではあるけれど、もっと謙虚になるべきで、口数を減らすべきだということを学んだ。」とシュロッターベック。そして「フリック代表監督は僕を後押ししてくれる存在だ。うまくいかなかった後でも変わらない。日本戦後でもスペイン戦でまたW杯でプレーさせてくれた。どの指揮官でもできることではない。本当に感謝しているし、なんとしてもその信頼に応えて見せたいと思う」と意気込みを見せている。

ドイツ代表の2023年度のスケジュール

 まずはその最初の機会がこれから迎える3月の代表戦、ペルー代表戦とベルギー代表との親善試合だ。ドイツ代表は自国開催のユーロということで出場権をすでに確保しており、そのため今回も6月の代表戦期間もユーロ予選に出場する必要はない。それゆえ6月にもテストマッチとしてウクライナ代表(ブレーメン)、そしてウルグアイ代表(ゲルゼンキルヒェン)との試合がそれぞれ予定されていると、ドイツの国営放送ARDが報道。さらに6月ではもう1試合が予定されているという。

 しかしもしもネイションズリーグでファイナル4に残っていれば公式戦に臨めただけに、改めてあの時の結果の大きさを痛感させられる。なお10月には北米ツアーを予定しており、そこではおそらく米国やメキシコとの対戦が行われるはずだ。ユーロに向けフリック監督は「いくつかのことを試していきながら」大胆かつ意外性のある決断もしていきたいと考えており、「この大会に向けて大きな期待感をもって臨む。情熱と熱意とドイツへの誇りを胸に、魅力的かつ成功を手に刷るサッカーができるチームを育てていきたい」と語った。

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