2023/03/27

ユリアン・ブラント、そしてボルシア・ドルトムントの好調の要因とは

©︎IMAGO/Team 2

 懐かしい話にユリアン・ブラントの表情も思わずゆるんだ。ユース時代を過ごしたSCボルクフェルトにて過ごしていたことを思い返し、「とにかく自由があるのが好きだったんだよ」とコメント。それは今も変わることなく「ピッチ上で自分の思ったことを発揮できる、それが今でも好きなんだ」と言葉を続けた。

 昨夏より就任したエディン・テルジッチ監督の下、特にボルシア・ドルトムントは年明けから快進撃を続けており、4月1日に迎えるバイエルンとのドイツ頂上決戦では首位として、10連覇中の王者との一戦を迎えるところ。その中でブラントは象徴的な活躍をみせている選手であり、本人も「テルジッチ監督とは類似性を感じるんだ。ボールをもったときに自由に動かせてくれる。それは本当に僕にとって好都合でね。」とコメント。その結果がリーグ戦23試合で12得点、チェルシー戦で負傷し離脱するまでは、チームにおいて最も安定感のあった選手であり、守備面でも精力的なプレーを見せるなど存在感を示している。

 昨春にブラントはkickerとのインタビューの中で、「これまでの監督からは、常に攻撃面での問題は指摘されなかった」ものの、ただ「多くの監督たち」からは守備面についての苦言が呈されていたという。「対人戦における勝利への粘り強さが足りないとかね」と語り、これを聞いたテルジッチ監督がドイツ代表の合宿地にまで足を運んで、「この流れを止めなくてはいけない。その点で我々は意見を一致させていた。別のことだってできるよ、というところを見せていかないとね」と伝えにいっていた。「そうじゃなければ、いつまでもそのことがブーメランとなって返ってくるもの。だが完全にアクセプトしていたよ」

 そしてテルジッチ監督は改めて、ブラントについて「デ・ブライネ」とそこまでスピード、シュート力、パス、クリエイティビティという点で遜色があるとは思わない。ただデ・ブライネは試合に勝つための勝負強さを知った。見栄えのいいサッカーを捨てて、アシストよりも得点を決めることがよりクールだと自覚したんだ」と語る。「もちろんユリアンには自由にプレーしてもらいたいし、どの選手にもできる限りそうさせたいと思っている。ユリアンがやりやすい空間というのを他のチームメイトも意識して、それをどう作っていくか。ドリブルができるような相手を引き離さないと、とかね。」

 そしてそれはそのまた逆も然りで、そういった部分が守備面での改善へとつながっていくもの。指揮官は「ボールの有無にかかわらずそうやって互いにサポートし合えれば対人戦で遅れをとることはないんだ」との自論を展開。まさにその意識の植え付けが実を結んだ結果が、年明けからの驚異的な巻き返しという形で現れた1つの要因としてあげることができるだろう。チームの飛躍という意味でも、そしてブラントら個人の飛躍という点においても。

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