2023/03/29
独誌キッカー解説:ジャンのみアピール成功、ベルギー戦で見せた多くの課題と数少ない光

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代表戦では常に印象的なメッセージが掲げられるもの。今回は「意思の強さは成功へと繋がる。新しい夏のメルヘンストーリーを記そう」との文字がスタンドに大きく描かれ、そこに主将を務めたジョシュア・キミヒらドイツ代表選手たちがピッチ上に姿を現した。だが今回のベルギー代表戦ではその”成功に繋がる”姿を見せられず、最終的には5年ぶりとなるテストマッチでの敗戦を喫することに。ただこの試合での問題点は決して意思の弱さにあったわけではない。
少なくとも2点差を盛り返して、最終的には2−3と惜敗にまで持ち込んだことは、この試合における数少ないプラス材料の1つだ。ただプレー面で考えるとペルー戦から3日後の今季最初の本格的な腕試しという場で、開始30分まではベルギーにいいようにあしらわれていたことも確かな事実だ。この時点で試合が完全に決まってじまった可能性さえあった。この試合でフリック監督は多くの主力を様々な理由で欠いており、ギンターやケーラーらにかなりの負荷がかかることに。両サイドを担ったラウムとヴォルフは守備の欠陥を露呈するなど、カタールW杯における大きな反省材料であった守備面での多くの課題が見受けられた。
ただその中でもこの試合でアピールをみせたのが、エムレ・ジャン。ペルー戦でもすでに目立つ存在となっていた同選手は、キミヒと共にそれまで不振だったゴレツカが負傷交代となったことでその後を受けると、それまであまりにもバランスが崩れ受け身に構えていたチームを、そのフィジカル力と対人戦能力によって立て直すことに貢献。最終的にはこの粘り強さをもった反撃に、ひとまずはフリック監督の歩む道をドイツ国民としては前向きに捉えているとはいえるだろう。ただそれでも6月に控えるテストマッチ3試合に向けてはさらなる進展を期待しており、またドイツ代表としても1年後の自国開催のユーロを睨んで先発イレブンの構築に集中していく可能性もある。