2023/04/02

独誌キッカー解説:バイエルンがドルトムントにみせつけた横綱相撲

©︎IMAGO/kolbert-press

 もはや全てがいつもの通りに行われてしまったといって、過言ではないだろう。ボルシア・ドルトムントは高い野心をもってミュンヘンの地へと乗り込み、そこで相手に手土産を渡してしまって、そして手ぶらでドルトムントへと帰還した。今回は首位奪還直後という勢いに乗って挑んだものの、それでも1−3、2−4、0−4、0−5、0−6、1−4、1−5、1−2という悪夢の歴史に、さらに2−4という苦い記憶を書き足すことになったのだ。

 しかもこの2−4という敗戦は、「それで済んだ」という結果でもあった。期待されていた組織的なアグレッシブさは開始10分まで。それ以外は消極的で混乱し、不安に駆られ、おそらくプレッシャーだろうか、目の前の壁に圧倒されていたドルトムントの選手たちは、バイエルンにいたずらにスペースとチャンスを与え、そして守護神として活躍をみせていたはずのコーベルは、待望の復帰戦で致命的なミスをおかし先制点を許す。

 逆にいえば監督交代劇に揺れるバイエルンは再び自信を胸に相手に立ち向かっており、特にそれは時間を追うごとに如実に感じ取れていったもの。自陣でボールをしっかりとキープし、そしてこれまでの持ち味ながらなかなか最近は見せられなかったバイエルンらしいプレースタイルをこの試合では披露。ミュラー、コマン、サネを中心とした攻撃陣が、特に先制点後からは目に見えて活発に、はつらつとしたプレーをみせつけ、そのスピード感あふれ、多くのスペースを見出してながら、素早く斜めにフィードする様は、確かに少しずさんなプレーも垣間見せたとはいえ、ドルトムントを相手にしっかりと試合を支配したものだったといえるだろう。

 またこの試合ではトゥヘル監督が好む4−2−3−1システムを採用し、サイドラインでは熱いながらも細心の注意を払いながらプレーするよう指揮官は指示出し。それは例えば左サイドのデイヴィースに対して、より守備的なポジションを保つように「おちつけ」との合図でみてとれた。求めるのは派手なタックルではない。むしろ忍耐力とクレバーな動き。最終的にバイエルンは横綱相撲でこのドイツ頂上決戦を制することになる。これで順位表では再び首位奪還。改めてドイツのナンバー1は誰であるかを誇示し、勝ち点2をリードした状態でこれからリーグ戦、ドイツ杯、そしてチャンピオンズリーグの全タイトル獲得へのあゆみを進める。

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