2023/04/11
フェラー氏:ドイツ代表が自国開催のユーロで成功をおさめるために必要なこと

©︎IMAGO/HJS
ドイツ代表のマネージャー職へと就任した、ルディ・フェラー氏。当初はバイヤー・レヴァークーゼンにて復職的な形で貢献していくことを視野に入れていた62歳は、それを1年半後に控えたユーロ2024まで延期してドイツ代表での仕事に従事することを決意。このたびキッカーとのインタビューに応じる中で、マネージャーとして監督や選手たちと壁を作ることなく積極的に交流を深めていくことの重要性を「親近感を互いに感じられることは大切なことなんだ」と説きつつ、改めてハンジ・フリック代表監督との関係性も「とても建設的で素晴らしい交流が行われている。きっとうまくいくことだろう」と語った。
とはいえ万事すべてがうまくいくというものでもない。例えば高額な選手の代表招集となると「ブンデスや欧州リーグでの試合がなければ誰もが協力的だが、しかし熱い時期になって自分たちのことを考えるようになると話は変わってくるもの。自分自身も長年その立場にいたからよくわかるものだよ。よく人は同じ船に乗っているのだから、という表現をするものではあるが、しかしたとえ同じ船に乗っていても別の方向を向いていることだってよくあることなんだ」と言葉を続けている。
一方でドイツ代表はロシア・ワールドカップ以降、国際主要大会において残念な戦いぶりがつづいているところ。それでも「うまく軌道に乗せられれば、とてもいいユーロを迎えられると思うんだ」と述べており、その模範としてクオリティ以外の部分でも示した「アルゼンチンは世界の頂点に立つのに相応しかった。彼らは自分たちの戦い方で、そこにメッシという存在もあって、互いが互いのために戦い、守り、ボールを供給していった。彼らが特別に圧倒的という印象はなく、ブラジルやフランスの方が上のようにも思えたがね」とコメント。
つまりクオリティ面について高く評価するのは、むしろ隣の準優勝を果たしたフランスであり、「特に悩みなくぐっすりと夜で寝れるのはあそこくらいだろう。5人が不在だったとしても、別の5人でやれてしまう」と述べ、「ユーロで戦い抜いていくためにはそういった選手たちもうまく織り交ぜていかなくてはならないものなんだ。盛り上がりというのは自然発生するものではなく、そのためのアクションが求められる。アルゼンチンやモロッコがベルギーやスペインより優っていたのは、そういった5%の犠牲心や情熱、闘争心、勝利への意欲にある。それが不足していたから、我々は敗退したのだ。誰もがその意識をもつべきだよ。常に行動意識をもつということ。当たり前に物事が動くなんて考えてはいけない」
定位置争いの激化へ:元教え子や若手らの成長に目をほそめるフェラー氏
実際に今年最初の代表戦期間における戦いぶりからも、決して一筋縄ではいかないところが見て取れた。とりわけベルギー代表戦では開始早々から失点を重ねており、「ただペルー戦でエムレは素晴らしいパフォーマンスを見せ、このベルギー代表戦でも彼が登場すると、試合はそこから好転していったよ。それは決して偶然ではない」と評価。10年前には自身がSDだったレヴァークーゼン時代に獲得しており「エムレは非常に大きな飛躍を遂げている。そのことを嬉しく思うよ。もっと歳を重ねていけば、まぁもう若くはないが、それでもさらに伸びしろがあることが見て取れるね」と目を細めた。
また12歳のときから知るカイ・ハヴェルツもまた、フェラー氏にとっては「カイがイングランドでトッププレーヤーへと成長したことを目にするのは、私にとっても大きなことだった。彼がワールドクラスの選手になることは誰もが期待していたことだったが、内面的にも彼は成長を見せていたと思うね。成熟しているよ」とコメント。またそれ以外の若手選手である「フェリックス・ヌメチャはボランチからCMFで非常に素晴らしい才能を発揮する選手であることは見て取れたことだろう。ケヴィン・シャーデも素晴らしいプレーを見せていたね。」と評している。
しかしながら「ただ若手が多かったことでいくつか息が合わないところも見受けられてはいたけれど、ただそれもフリック監督が意図的に試すために選択したものなんだ。次の国際大会になるとまた復帰組も加わってくるし、そうなればまた変わってくるだろうね」とも。特にベルギー代表戦では「最初の30分は重い印象を受けていた」が、「ただそれからの60分間は思い描くドイツ代表の姿がそこにあったと思う。プレーの面では以前よりもかなりよくなっている印象だよ」とも強調した。そんな定位置争いは、フィールドプレーヤーのみならずGKにも及ぶものであり、「マヌエルは今、この定位置争いに直面している。テル=シュテーゲンというライバルがいることは、彼もよくわかっていることだ」と語っている。