2023/04/30
主審がドルトムント戦での誤審を認める!元審判員はこの試合の任命自体に疑問

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金曜夜に行われたVfLボーフム戦においてボルシア・ドルトムントは、11年ぶりとなるリーグ優勝に向けた、非常に重要な勝ち点を、サシャ・シュテーゲマン審判員率いる審判団によるミスによって奪われる結果となった。この試合の後半65分にボーフムのソアレスが自陣のPA内で仕掛けた、カリム・アデイェミに対するファウルは本来PKが与えられるはずだったものの、しかしながらシュテーゲマン主審はそれを流し、さらにVARも介入することなく動画での確認作業も怠ってしまったのである。このことについてシュテーゲマン氏はスカイに対し、「あの時の自分の認識では、アデイェミが自ら足を出して接触を試み、そして相手DFの上に倒れたというものでした。しかしその後の映像をみれば誤審だと認めざるをえない」とコメント。「VARはそこまで明確な誤審ではないと判断してチェックを止め、私はそのまま試合を流した」としており、「介入してもらえていればという気持ちもあるが、ただVARもまたミスの可能性があるもの」と言葉を続けている。「VARには確かな疑念がなく、私もあの時は明確に認識していた。そして抗議も比較的穏やかであったことからも、敢えてもう1度ビデオで判定することはしなかったのです」
元審判員は、ドイツサッカー連盟の判断を問題視
ただこの話にはもう1つのポイントがある。これこそ元審判員マヌエル・グレーフェ氏が指摘する問題点だ。今季ブンデス第12節でもドルトムント戦の主審を務めたシュテーゲマン氏は、対人戦における判定のムラからkicker採点で最低点と評される結果にもなるのだが、特に前半42分にアデイェミが相手選手に自陣でファウルを犯すもこれを見逃し、VARも介入することなくドルトムントが2−1で勝利したという経緯がある。「そうなるとPKの判断でより慎重になってしまうもの。しかもウニオン戦ではダイブの判定も受けていた流れもあった」と指摘しており、なぜドイツサッカー連盟が今回の試合でシュテーゲマン審判員を任命したのかに疑問を呈す。それに加えてドルトムントのノルトライン=ヴェストファーレン州出身の主審と、バイエルンのバイエルン州出身のVARという状況では、「無論、審判員として偏見をもつことはあってはならないという心得はある」としても、不必要に意識を高めてしまう構成だったのではとの見方も示した。
ヴァツケCEO、SNSなど個人への誹謗中傷を危惧
なおこれにシュテーゲマン審判員は「もちろん審判員としてプロフェッショナルに準備をしますし、それ以前のチームの試合もチェックします(中略)、それでもそこで偏見をもつことなどはなく、あくまでのその時のプレーで評価をします」と述べており、VARを務めたロベルト・ハルトマン審判員はここまで沈黙を守っているが、ドイツサッカー連盟審判員協会ではあくまで、責任はハルトマン審判員ではなく主審を務めたシュテーゲマン氏にあることを強調し、「このような場合はVARの支援を必要とせず、あくまでピッチ上の審判員によって、正しく判断がなされるという前提の下で成り立っていなくてはならない」との考えを示している。ドルトムントのハンス=ヨアヒム・ヴァツケCEOは、日曜日には声明を発表しており、「金曜夜の出来事には非常に失望している。ただ私たちは試合後に審判員と直接話し合いを行っており、その後で謝罪を受けた」と明かしながら、「いかなる敵対行為、中傷、脅迫も、それが個人的なものであれSNSを介した匿名であれ、どんなに失意が大きくとも、決して許されるものではない」と語った。
選手たちは失意も、前を向くことの重要性を強調
なお試合後は沈黙を保っていたマッツ・フメルスは、後に自身のインスタグラムにて「残念ながら、優勝争いで後退してしまったね。ただ僕としては前線における決定力が不足していたところがあったとはいえ、僕らはこの決戦に断固たる意志をもって望んでいたし、その結果あのPKの判定にかかわらず、僕らは確かにあの試合での勝機を見出せていたと思う」と総括。「PKは与えられて然るべき」で特に「今季はVARが明確な場面でも介入しないことが何度もあるのか」と疑問を投げつつも、議論を加熱することで「状況の悪化は招きたくはない」と残りシーズンへの集中を切らさないことの重要性を説いた。若手ユスファ・ムココもクラブ公式TVで同様の見解を示し、「大きなチャンスを逃した。手は尽くしたけど勝利の女神は微笑まなかった。苛立ちはそう簡単には消えないけど来週から前を向かないといけない。試合は完全に支配していたし決定力が問題だった。むしろ前半で決めなくてはいけなかったんだ。」と述べ、「僕らは誰に対しても、どんな判定であっても怪我や病気があっても、負けてはいけないという確固たる信念ももっている。最後まで優勝争いを盛り上げていくために、とにかく全力を尽くす。みんながそういう気迫をもって取り組んでいるんだ」と意気込みをみせている。