2023/05/19

独紙キッカー解説:「ブンデスファンの興奮が奪われた」第33節の日程に怒り心頭の理由

©︎IMAGO/Eibner

 ドイツのファン連合「Unsere Kurve」は、ブンデスリーガ第33節が全9試合同時開催されなくなったことについて、改めて明確な反対の意思を表明した。「これによって我々の興奮、感動が損なわれ、ファンカルチャーが抑制されることになり、大会における公正さも損なわれることになる」とその理由について説明。実はブンデスリーガでは昨シーズンから2024/25シーズンまで、これまで同時開催されていたブンデスリーガ最終節とその前にあたる第33節を見直し、最終節のみ同時開催にすることを決断。これは他のヨーロッパのリーグでも以前から行われてきたものだ。

 しかし「いまやテレビ放映権料の不公平な分配やブンデスリーガへの投資家参入を検討するなど、いまはまたサッカー面ではなく金銭面の利益に比重がかかるようになっており、所詮は彼らがみせる謙虚さは言葉上だけでしかないということ。私たちがこれまで愛してきた特有の緊張感は、決してお金の価値に置き換えられるものではなく、また大会における公平さもまた同時開催以外で得られるようなものではない」と説明。

 つまりはサポーターにとってシーズン最後の2試合は非常に特別な意味あるものであり、日程が固定していることから「冬休み前から特別列車、ファンミーティングなどが計画され、タイアップなども行われる」というようなワクワク感が損なわれることになり、また同時刻開催という平等なプレッシャーの中での試合開催をホームという特別な場所で迎えられるクラブは、最終節に開催できる半分のクラブだけになるということでもある。しかしながらそれでも時間帯がずらされる結果となっているのは、それだけテレビ放映権料でより多くの収入が得られるという理由によるもので、そして長い目でみればそれは確実にマイナス要素を生むことにもなるだろう。

 今季だけでみてもたとえば、午後にフライブルクがヴォルフスブルクに敗れた時点で、夕方開催のライプツィヒはバイエルン戦での結果にかかわらずCL出場権を獲得。ライプツィヒファンの興奮のみならず、勝ち点差1で首位を追いかけるドルトムントファンとしては、ライプツィヒの懸命さに影響が出ることを不安視するのは当然のことだ。またそのドルトムントが対戦するアウグスブルクについても同様で、その試合開始前にはブンデス残留が確定している可能性があり、それもまた首位を争うバイエルンファンからすれば前日の結果次第でやきもきすることになる。

 無論それは上述したクラブのみならず、それ以外のクラブのファンにとっても、特に欧州リーグの争いや、残留争いに直接絡むファンたちの興奮を制御してしまうものであり、それはブンデス2部でも同様で、昇格争いを展開する上位3クラブ、ダルムシュタットやハイデンハイム、ハンブルクも全て異なる時間帯によって開催。あとファンに残された道は、できる限り多くの不確定要素をもって最終節に臨めるよう願うほかない。

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