2023/05/22

独紙キッカー解説:まさにドラマの連続、ドルトムントのブンデス奪還劇まであと1つ。

©︎Getty Images

 本来ならばあまりボルシア・ドルトムントのサポーターたちから好意的にはみられていない、RBライプツィヒがまさかの快勝劇で首位バイエルン・ミュンヘン叩きに成功。 1年前まではドルトムントで指揮をとっていたマルコ・ローゼ監督が3−1での勝利を手にしたことで、バイエルン・ミュンヘンのブンデス11連覇を阻止し、そしてボルシア・ドルトムントにとっては11年ぶりとなる優勝に向けて大きな前進を遂げたことは、このクレイジーなシーズンのまさに象徴的シーンの1つといえるだろう。テルジッチ監督が振り返ったように、昨夏にはハーランドが移籍、相次ぐ主力選手の離脱など、ピッチの内外の問題で様々な浮き沈みを耐え抜いてきた。

 最近だけで見てもドルトムントでは、疑惑の判定により首位陥落を喫し、そして今節では残り2試合という絶体絶命の状態で、4試合連続で未勝利中だったアウェイ戦を迎えるという状況だったにもかかわらず、それでもむしろ意気揚々とアウグスブルクの地で戦い抜き、見事な快勝をおさめてみせていたのである。これこそひとえに今冬時点ではプロジェクトの頓挫さえ危ぶまれたエディン・テルジッチ監督が、決して諦めることなく選手1人1人に共感、そして注意を払いながら、丁寧に事態の好転を図っていった結果でもあるだろう。

 特にそれまで思うように力を発揮しきれていなかった選手たちが台頭をみせ、いまや逆襲劇を演じられるだけの信念をもった戦う軍団が形成された。そしてこれまで無冠に終わってきた『ガラスのエース』ロイスが、生まれ故郷であるドルトムントの人々の前で主将として念願成就する日が、いまやあと1つ勝利をおさめるだけというところにまで辿り着いた。加えて昨夏に精巣がんと診断され2度手術、それでも不屈の精神で後半戦より復活したセバスチャン・ハーラーは、後半戦で不屈の精神をみせたドルトムントの象徴的存在の1人としてあげられるだろう。一時はまるで地球から火星ほどの距離さえ感じられたこの物語が、いよいよ完結へと向かっている。

 何度も何度も挫折を味わい、そして大きなプレッシャーの連続でもあったシーズン。それでもドルトムントは最後の最後にきて、最大のチャンスをついに掴み取った。その決戦を前に、指揮官は 「かつてないほどにハングリーになること、かつてないほどにハードワークに勤しむこと、そしてかつてないほどに前向きであること」と述べ、「ただ何よりも重要なのは、かつてないほどに声を出していこう。そうすればきっと、かつてないほどの喜びを手にすることができるはずだ」と意気込みを語った。

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