2023/07/23

ドルトムント:半年前は売却候補、今は主将候補となったエムレ・ジャン

©︎IMAGO/Jan Huebner

 わずか半年前にスペインのマルベリャにて行われた冬季合宿期間中、ウォーターフロントにあるグランド・カフェ・カプチーノにてインタビューに応じたエムレ・ジャンは、それまでのボルシア・ドルトムントでの3年を振り返って、「ドルトムントに来てから、ベストが出せていないということはわかっているんだ」と、驚くほど率直に「全然、まったく」満足できていないことをあからさまに明かしていた。

 だがそれからの半年間でみせたその飛躍ぶりは、まさに目を見張るものがあるといえるだろう。常に売却候補として名前が挙がってきたディフェンシブ・オールラウンダーは、ついにドルトムントでの定位置確保に成功。そしてそれまで苦戦を強いられていたボルシア・ドルトムントが、一躍ブンデスリーガ優勝に王手をかけるまでの上昇気流に乗るキーパーソンの1人として支え続けていたのだ。もはやクラブにとって短期的視点ではなく、中期的視点でチームを支える重要な存在に。

 先日には来夏までとなっていた契約をさらに2年間、2026年まで更新したことが発表され、「ボルシア・ドルトムントだけでなく、ドイツ代表においてもその意欲的な姿勢、フィジカル面での存在感、そして常に勝利を目指す闘争心」についてケールSDは評価。「成熟した内面性をもつ、豊富な国際経験をもつ選手」の契約延長に喜びを見せていた。ただその賛辞にあがったジャンの特徴は、なにもそれまでドルトムントでみられていなかったわけではない。ただポリバレントゆえに複数のポジションでプレーする中で、安定性にかけ時に無謀な動きをみせたり、自身のストロングポイントを見失うことがあった。

 今はそのストロングポイントが上回るようになり、これからさらにウィークポイントの改善をはかっていかなくてはならない。今回の契約延長はそのためのドルトムントからの期待の表れで、そしてジャンの責任感をさらに促す意味をもったものだといえる。「彼はここ数ヶ月、クラブだけでなく代表チームでもその重要性を自ら切り拓き示してきた。それこそが我々が獲得当時に期待していたところであり、そして彼自身が目指すところでもある」とテルジッチ監督。ジャンも「今はまたゼロからのスタート。そして正しい道を歩み続けることだ」と気合を入れる。もしかすると先日退任したロイスの後継として、主将の任務も託されるかもしれない。「もしそうじゃなくても落ち込むようなことはないさ」と強調したジャンだが、「もしそうなれたら嬉しいだろうけどね」と笑顔で付け加えた。

 

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