2023/08/06
ドルトムント:米国ツアーで感じた成長への手応えとツアーの難しさ

©︎Getty Images
ボルシア・ドルトムントのエディン・テルジッチ監督にとって、11日間に及んだ今回の米国ツアーは、決して楽なタスクと呼べるものではなかっただろう。PR活動も重視されるなかで柔軟な対応と体力が求められることになり、時差や移動距離、気温差などを考慮すると完璧な準備への理想とは程遠いことだろうが、ただクラブもまたそれだけ収入面に頼らなくてはならない事情は関係者の誰もが知るところだ。クラマーCMOは「努力は着実に報われている。実際に現地で我々を迎えてくれる観客はどんどん増えているよ」とコメント。それはテレビ視聴率SNSでの反応でも明らかであり、ツアーによる収入は500万ユーロとなった。
また選手たちの雰囲気という点について非常に良好な印象を与えており、非常に満足して選手たちは取り組む姿勢をみせ、さらに今回の選手評議会のジャン新主将、コーベル副主将就任などにも見受けられるように、チームの核となる選手たちが束になって順調に成長を遂げている様子が現れていることは発展の証だ。前主将のマルコ・ロイス、そして副主将だったマッツ・フメルスと、なにか問題があって移行したのではなくスムーズに世代交代を行えたのだから。
そしてマンチェスター・ユナイテッド戦に続き、チェルシー戦でも選手たちが勇気あるプレーをみせていたことは朗報として挙げられる。チェルシーが立ち上がりと前半終了前に攻勢をかけてジャクソンやスターリングが鋭いシュートを放つも、前半なかばを過ぎるころからドルトムントが相手PA付近でプレーする機会が増え、また後半立ち上がりでは新加入のベンセバイニがチュクウェメカのシュートをギリギリでクリア。マンU戦に引き続き勝利への意欲をみせたドルトムントは、後半85分にCKからヴォルフが合わせて遂に先制。しかし終了間際にバーストウが同点を決めて痛み分けという結果に終わっている。
選手それぞれのパフォーマンスで見た場合、たとえばアデイェミはマンU戦でフォルサムを手玉にとり、また筋肉系の問題で限られた出場時間となったサビッツァも、その中で好パフォーマンスをみせ明るい材料となった。特に同選手については、レアルに移籍したベリンガムの穴埋めとして、かつてみせた卓越したプレス、理解度、決定力を示したいところ。一方それでもシュロッターベック、コーベル、ヌメチャ、さらには思いのほか重傷だったデュランヴィルやムニエなど、今回の遠征が理由かは別として、ドルトムントがさらに負傷選手を抱える結果になったことは、総じて成功に終わったツアーとはいえやはり残念なことだった。