2023/08/12
ケヴィン=プリンス・ボアテングが現役引退を表明

©︎IMAGO/Eibner
ケヴィン=プリンス・ボアテングが現役引退を表明した。ユース時代をヘルタ・ベルリンで過ごし、そこから海外ではトッテナム、ポーツマス、ACミラン、ラス・パルマス、サッスオーロ、バルセロナ、フィオレンティーナ、モンツァ、ベシクタシュ、国内ではドルトムント、シャルケ、フランクフルトなどでもプレーしてきたテクニシャンは、昨季は古巣ヘルタのブンデス降格を防ぐことができずそのまま退団。「これまでのキャリアでは、僕は勝利よりも敗北の方が多かった」と振り返った同選手は、その後イタリアや中東からの関心も届いていたというが、「自分にとって何がベストなのかを、この体でまだどれだけやれるか」を熟考した結果で、今回の決断に至ったという。
そしてこれまでのキャリアを振り返ったその動画のなかでは、ボアテングは「僕は常にチームメイトのために全力を尽くしていたよ。リーダーシップとタフネスをもって、時に道化師、ローカールームでは力強い”プリンス”を演じながら、皆に元気を振り撒き続けてきた。でも家に戻れば泣いていたし、悲しみを覚えていたし、そしてうつ病も抱えていたよ」と吐露。最大のライバルは自分自身にあり、「誰も自分と同じように考えるわけではないし、自分以外がライバルにはなり得ない」と言葉を続ける。
一方でピッチ外でもボアテングは大いに注目を集め、特に2010年W杯直前、ドイツ代表主将ミヒャエル・バラックへのラフプレーで足首に重傷を負わせたことは大騒動となった。バラックはそのままワールドカップ出場を見送るという事態にまで発展した。バラック自身はボアテングに理解を示したが、「僕の携帯には5000件のメッセージが届いたよ。あのファウルがどれほどの次元の問題なのか。あの瞬間は気づかなかったね」とボアテングは回顧。ガーナ代表として敢えてW杯出場を阻止したという声には「それはサッカーをしたことのない人の意見だ」と自伝にて否定している。
ピッチ外では人種差別問題や社会問題での活動を行いながら、ピッチ内では2010/11のACミランでのセリエA優勝、2018/19のバルサでのラ・リーガ優勝、2017/18のフランクフルトでのドイツ杯優勝などを納め、代表ではユース時代をドイツでプレーするも、父の出身国であるガーナ代表を選択。ブラック・スターズでは15試合に出場し、2010年と2014年のワールドカップにも出場した。「愛しているよ。今までありがとう、親愛なるサッカーへ」と直筆で綴ったボアテングは、520試合に出場し76ゴール56アシストを記録したキャリアで学んだこととして、「努力なくして才能は何も生まないこと」と「人生をあまり深く考えすぎないこと」をファンに伝えた。