2023/08/19
ドルトムントの新主将エムレ・ジャン、更なる飛躍に向けたシーズンの幕開け

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昨シーズンの最終節1.FSVマインツ05戦では、ボルシア・ドルトムントは最後の最後でブンデスリーガ優勝を逃すという辛酸を嘗める結果となっており、それから迎えた夏季休暇では他の選手と同様エムレ・ジャンも、「とにかくサッカーから頭の中を離れさせたかった」とのこと。長年愛してやまない、職業にまでしている世界ではあるが、とにかく何も情報を入れない状況を作りだしたかったのだ。「それでも1・2週間もすると、またふつふつとやる気が湧いてくるもんなんだけどね」
その湧いてきたやる気をさらに後押しする出来事が、この夏では2つ待ち受けていた。まず1つは来季まで残されていたドルトムントとの契約延長。そしてもう1つはクラブ首脳陣からマルコ・ロイスの後継者として、次期主将への打診を受けたことである。「主将を務めるということは大変や喜びであり気持ちの上で良いものがある、ただそれと同時にまとめ役としての責任感もともなってくるもの」と、その心中についてジャンは説明。
とりわけ今冬ではカタール・ワールドカップ出場を逃すなど失意にあったジャンだが、そこから不振を抜け出してチームとともに猛烈な巻き返しを展開。その活躍はこの夏にキャプテンマークを受け取るという形で報われた。その本拠地でのデビューとなったアヤックスとのテストマッチでは、ジャンの胸は強く踊らされていたという。「エネルギーに満ち溢れている感じだったね」と振り返ったジャンは、その勢いのまま今季最初の公式戦ドイツ杯初戦で、開始早々に警告をもらう結果に。バランスを見出すことがさらなる成長への課題となるだろう。
そしてその飛躍によってドイツ代表においても来夏に控えた自国開催ユーロへの参加、そしてクラブシーンにおいてもわずかなところで手がとどかなかったブンデスリーガ優勝へと結びつけていきたい。悔しさをバネにこの半年を過ごしてきたジャンは、「タイトルを逃した経験を力に変えること」の重要性を改めて説く。「失意のエネルギーをパワーに変換していくこと。」そのまず最初のハードルが開幕戦ケルン戦であり、「そこで自分たちの姿がみえてくる」とジャン。夏季準備期間での手応えと、そして気持ちを引き締めるという緊張感のバランスをもって、新主将としての新たなシーズンの幕開けに臨む。