2023/09/07
ヤシン・トロフィーとドイツ代表先発GK。テル=シュテーゲンが手にするチャンスは?

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2023年度バロンドールの候補30名が発表された一方で、ゴールキーパーについても10名の候補者が発表。その中にはドイツ代表マーク=アンドレ・テル=シュテーゲンの名前も含まれていた。ちなみに2019年から始まったヤシン・トロフィーの第1回受賞者は、当時チャンピオンズリーグを制したリヴァプールのアリソン。それ以降は欧州王者のジャンルイジ・ドンナルンマ(2021年、パリSG/イタリア)とチャンピオンズリーグ優勝者のティボー・クルトワ(2022年、レアル/ベルギー)が受賞。確かに国際タイトルこそないがそれでも、テル=シュテーゲンは56試合中29回のクリーンシートを含む、わずか49失点という結果は他を圧倒するものだ。(ボノ(セビージャ→アル・ヒラル、47/66/14)、ティボー・クルトワ(レアル、57/56/20)、ドミニク・リバコビッチ(クロアチア代表、63/61/18)などもノミネートされている、 マイク・メニャン(ACミラン。33/27/14)、エミリアーノ・マルティネス(アルゼンチン代表、50/47/22)、アンドレ・オナナ(インテル、45/41/19)、アーロン・ラムズデール(アーセナル、41/46/15)、ブリス・サンバ(RCランス、38/28/16))。
その一方でテル=シュテーゲンは現在ドイツ代表参加中であり、今冬に開催されたワールドカップ以降は足の重傷で離脱が続くマヌエル・ノイアーに代わり、押しも押されぬ先発GKとしての立場で臨んでいるところ。「ロシアW杯までは、マヌエルが絶対的なナンバー1だった。もちろんアピールに燃えてはいたけど」と会見の席で語った同選手は、「でも状況は変わっていると思う。この時を待ち望んでいたし是が非でも活かしたい。そのために全力を尽くすよ。結果を出せればその議論もなくなっていくだろうし」と言葉を続けている。ノイアーは順調な回復をみせバイエルン、ドイツ代表でも先発の座に復帰することを視野にいれているが、「大怪我の後でまた練習に熱を入れられていることは喜ばしい。ぜひ本来の力を取り戻してほしいと思ってるよ」とテル=シュテーゲン。「でも僕は僕。自分にできることは自分のパフォーマンスに関することだし、それに集中しているよ」と語った。
ズーレ「再招集が正しいと証明したい」
ここで奮起をみせたいのは、ニクラス・ズーレにとっても同じこと。こちらも前回のワールドカップ以降は代表から遠ざかっていたが、それはノイアーとは異なりパフォーマンス面を考慮した結果であった。世間ではそのがっしりとした体格から、ときに”冷蔵庫”とも呼ばれ、クリスチアーノ・ロナウドのような”シックスパック”のイメージをもたれているわけではない。そしてフリック監督は招集を見送った理由として、体力面での問題を指摘していたのだがこれについては会見の席でズーレは、落ち着いた様子で「これまで特に何かが変わったわけではない」と強調する。むしろ後半戦では落ちるどころか上り調子であり、また新加入となった昨季よりも2年目のドルトムントでのシーズンでは明らかに状態に改善が見受けられているところ。「サッカーの世界で不当な扱いを受けてる、なんて感じるのは愚かなことだろうね。だってゴルフやテニスと違って、他の選手の影響も多大に受けるものだから。大事なのはどう物事に対処していくか。どういう見方がちゃんとできるかだ。僕はそれができる」とズーレ。バイエルンで数多く手にしたタイトルもその自信を後押しするものだ。
たとえフリック代表監督から2度選考から外されたとしても、「監督とは引き続き良好な関係性を築けているし、僕たちは一緒のたくさんの成功を手にしてきたんだ。常にオープンに意見交換を行なっている」と説明。事前に代表から外れることも説明を受けていたという。「でも全ての言葉を鵜呑みにする必要もない。自分の考えではドルトムントでの1年は良いものだったと振り返られるし優勝争いにも相応しいものをみせた」とコメント。「いまはここに戻ってきたし、とにかく全力を尽くして再招集の期待に応えていきたいと意気込みを見せている。「それにこれから3ヶ月は3日おきに試合が続くからね。あれこれ考え込むような暇もないよ」特にドルトムントでは開幕ダッシュで3年連続でつまづきをみせており、「プレッシャーは増しているけどね。でも実力は折り紙つきなんだし、それだけの自負をもってシーズンに臨んでいる。逆にそうじゃない選手はいないだろう」と改めてその大きな胸を張った。