2023/10/13

議論のドイツ代表の米国遠征:ドルトムントは選手をチャーター機で帰国

©︎IMAGO/Schüler

 10月というチャンピオンズリーグやカップ戦なども含めた過密日程にも関わらず、米国までの長距離移動を経てアメリカ代表やメキシコ代表との親善試合を敢行しているドイツ代表に対しては、これまでにも特にクラブ関係者や選手をはじめとして多くの疑問の声が投げかけられてきた。そしてさらにこれにサスティアビリティ関連の議論もヒートアップするかもしれない。ボルシア・ドルトムントは今回の強行日程を受けて、敢えてアメリカからドイツへのチャーター機を用意したことを明らかにしている。セバスチャン・ケールSDは、「この日程は決して満足できるようなものではないよ。特に我々にとってはね」とコメント。2試合目となるメキシコ代表戦はドイツ時間の水曜午前2時にキックオフとなり、その後のヴェルダー・ブレーメンとの金曜夜開催の第8節までには70時間しか空き時間がない状況なのだ。そしてドイツ代表一行が戻ってくる予定となっているのが、試合前日となる木曜朝にフィラデルフィアからフランクフルト到着となっており、フメルス、ズーレ、ブラント、フュルクルークの4選手を派遣しているドルトムントとしては由々しき事態である。

 「サスティナビリティの問題は、我々クラブとしても非常に重要な問題であることは確かだよ。ただ今回のリーグの日程によって、我々は非常に特別な状況に直面してしまった。」とケール氏。そのため試合終了直後に4選手が帰国できるよう手配した。一方でドイツサッカー連盟のフェラーSDによれば、本来ならばテレビ放送局との協議を経て日曜日に試合をスライドすることも可能となっていたものの、ドルトムントにはチャンピオンズリーグGL第3節ニューカッスル・ユナイテッド戦も控えていることから、ドルトムント関係者側から断りが入れられたことをDAZNに対して明らかにしている。「ただこれは試合日程を決める際に本来ならば、事前にうまく協議していって対応できた問題だったはずだよ。また、試合を日曜日に延期することも可能だったが、ドルトムントがその申し出を拒否したことも明かされている。ドルトムントは、翌週の水曜日にチャンピオンズリーグの試合を控えており、日曜日に試合を延期してしまうと、選手の休息が不足してしまうことを懸念していたようだ」

フェラー氏、前任者のビアホフ氏も米国遠征支持を強調

 とはいえそのフェラー氏もまた、この遠征を最初に耳にしたときは「本当に必要なのか?」と疑問に感じたことは隠し立てしていない。それまで長く在籍していたレヴァークーゼンというクラブ的な観点もあったのだろう、ただSDとなった今は「少し考えていると理解できる」として、次回ワールドカップ開催で盛り上がりをみせる北米大陸でのアピールという点と、そして新監督体制となったことで雑音を避けてチームとしてより密に過ごせる利点などを顧みて「当然の判断」と太鼓判を押す。では一体だれが計画したのか?それはフェラー氏の前任者である、オリヴァー・ビアホフ氏だ。今回ツアーに帯同中の元マネージャーは、TV局との取材の中で批判の声に対し「半年経てばまた、あなたたちはドイツは海外に積極的に進出しないから、プレミアやスペインの後塵を拝するなどと言い出すだろう。それはあなたも知っていることで、その希望からこの決定が下されたにすぎない」と説明。クラブからの批判の声には理解を示しつつ、「ナーゲルスマン新監督にとってもトレーニングキャンプとしてみれば良いことだ。皆で明るく一緒に過ごし話し知り合っていけるから」とコメント。改めてフリック監督の解任を惜しみつつ、ナーゲルスマン監督については「トップコーチの1人。力のある指揮官で、明確なアイデアももちこんでいると聞いている」と期待感も示した。

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