2023/10/24
諸刃ではなく両刃の剣、ドルトムント好調の鍵は”ハイブリッド”攻撃

©︎IMAGO/Laci Perenyi
地元のクラブであるヴェルダー・ブレーメンを相手に、ユリアン・ブラントはこの日もゴールネットを揺らしてみせた。ジャンからの絶妙なパスでお膳立てされたドイツ代表MFは、鮮やかなロブでゴールキーパーを交わす技ありのゴールによって、ブンデス通算300試合出場に大きな花を添えている。「比較的うまく行った試合だったね」と振り返ったブラントは、あまり過度に喜ぶことには気乗りせず、特に火曜夜のメキシコ代表戦から長距離移動しての出場とあり「ベッドにいるときが、本当に幸せなんだ」と漏らす。
ただオフでもっともいたい場所は今はベッドだとしても、ピッチ上では本来は中央でのプレーを最も心地よく感じているはずなのだが、いまの活躍の場はむしろ左サイドだ。「ウィングでのプレー経験があると、それはプラスにもマイナスにも働く、諸刃の剣みたいなものだよ。監督にはその選択肢が与えられてしまうものだから」とブラント。だがあくまでそれを前向きに捉えており、「僕自身で異なる解釈をしているんだ。僕は出来る限り、中に入っていくように努めているし、それがロイスとのプレーでうまく噛み合っているのだと思うよ」と説明。実際にこのコンビは非常にアクティブな印象を与え、「僕らはこれを”ハイブリッド”ポジションと呼んでいるんだ。ゲームをワイドにすることを意図してね」と言葉を続けている。
その結果で得点シーンについても、また同様に”ハイブリッド”なプレー内容だった。サイドから中へのスペースに狙いをつけて、そこで一閃。「うまく機能しているね」と自画自賛したブラントは、諸刃というより両刃の剣を携え「これはまさにイメージ°通り。基本的にこういうのがキーポイントになってくるものだと思う。常に動き適切なタイミングで切り替え、相手を混乱させながら引き出すことだよ。それで多くの得点チャンスにつながるものと思う」と胸をはった。
大一番を前に、ブラント「絶対に勝たないと」
「ここ数週間、僕達は良いパフォーマンスを見せてきた。そのままこの試合に臨んでいきたい」というジャンの言葉通り、この勢いにのってドルトムントはこれから、サウジマネーで一躍欧州に名乗りを挙げたニューカッスルと対戦するところ。確かにACミラン、パリ・サンジェルマンを含む、いわゆる『死の組』で2連続ドロー発進となったものの、首位との勝ち点差はわずか2と大混戦のため、今回の勝利で戦局は大きく変わることに。「チェルシーやシティとは違う良い雰囲気が待っているだろうとブラント。先日代表で同僚だったパスカル・グロース(ブライトン)から情報も手にしたようだ。「僕らはどうしても勝利しないといけないし、展開はまったく見えずどんな可能性もある」と大一番に向け目を輝かせている。
テルジッチ監督「試合の重要性は十分認識」
一方でパリSG相手に4−1で勝利し、その欧州の舞台で名乗りを上げてみせたニューカッスルのハウ監督は、「あの試合では特にファンとの一体感が良かった。ただ気持ちは切り替えていかないといけないけどね。この組では難しい試合ばかり。その一員であることは素晴らしいが、重要な段階にあるということ。ひとまず良いスタートは切れたがね」と付け加えた。確かにここのところは賭博問題でサンドロ・トナリは注目が集まるなかでのプレーとなるが、それでもハウ監督はチームの勢いを利用し「パリ戦での雰囲気。あの激しさとクオリテイの再現を目指す」と宣言。
テルジッチ監督「試合の重要性は十分認識」
逆にウェストハムでのAC時代にニューカッスルを知るテルジッチ監督は、「異様なな雰囲気がある場所」と述べ、あらためてこの試合における「重要性も認識している」とも強調。「ここで本当にいいパフォーマンスをみせなくえはいけない。それもわかっている。その結果で勝利を手にしたい」と意気込みを見せつつも、あらためて会見の席では残留争いから一躍飛躍に導いた、エディ・ハウ監督の手腕についても高く評価した。「ニューカッスルはこの1年半かけてチームを築き上げ、CL出場をも果たしている」
彼のイサクと対戦「成長は我々にとっても喜ばしい」
逆にそのニューカッスルの攻撃を牽引するのは、かつてドルトムントに在籍し今季8試合で6得点中の、アレクサンダー・イサクだ。ケールSDは「うちにいた頃はそこまでのレベルに達していなかったが、ただその大きなポテンシャルは明らかだったし、実戦経験を十分に与えるのに適切なタイミングではなかった。それがないとなかなか進めないもので、それを踏み出したイサクは大きく成長したのだよ」と説明。「かなり調子がいいし、かなり伸びている。大きなクオリティをもっており、我々としても喜ばしいところだよ」と語っている。
先発予想
【ニューカッスル】Pope – Trippier, Lascelles, Schär, Burn – S. Longstaff, Bruno Guimaraes, Joelinton – J. Murphy, Wilson, Gordon
【ドルトムント】Kobel – Ryerson, Hummels, N. Schlotterbeck, Bensebaini – Can – F. Nmecha – Malen, Reus, Brandt – Füllkrug