2023/11/04
ドイツ頂上決戦直前:バイエルン、ドルトムント両監督の記者会見と現状まとめ

©️FC Bayern via Getty Images
無論トーマス・トゥヘル監督も、批判の声を甘んじて受け入れなくてはならない立場にあることを理解している。ドイツ杯2回戦ではブンデス3部1.FCザールブリュッケンを相手にまさかの敗退劇を演じ、「そのための説明は何百にも及ぶかもしれないし、結局まったく説明がつかないかもしれない」と指揮官。「是が非でもベルリンに行ってドイツ杯を手にしたかった。それがあくまで目的だったのだがシーズンの序盤にそれを失う事になってしまった。うまく整理していかないといけない」と言葉を続けた。
今回のザールブリュッケンにかかわらずこれまでバイエルンでは、アグレッシブかつコンパクトに構え良いサッカーを展開するチームをなかなか攻略できない試合が多く見受けられており、そういった「批判的な意見への反論は難しいものだ。気持ちを切り替えて前を向き、共に歩みをすすめていくほかない」と説明。そのため記事についても目にせず「自分達の立ち位置も認識できているし向上心をもって取り組んでいる。そして自己批判的でありこの敗北をしっかりと受け止め、自分自身、スタッフらと自問自答していく」
トゥヘル監督「記事なんて読まない」
なおSport1が報じたところでは監督と選手との間に、はじめての亀裂が生じたともいうが、「自分がその場にいたのだから敢えて記事を読む必要などない」と指揮官。「たとえ勝利しても、そして敗戦していてもその責任は私にある。そして3部を相手にトーナメントで敗退することになれば、そこで外から称賛の言葉を受けることなど期待できるはずがない。だからそこで私がどうリアクションするかという事には意味はないよ。チーム内では至って順調で、そうじゃなければここまでのシーズンは過ごせていない。確かに取り返しのつかない辛い敗退だが、いまは結束して落ち着き集中して取り組むことが必要であり、それは我々にとっても強みでもある」
また水曜の試合後はアウェイファンの前に向かう選手たちは少なく、トゥヘル監督はこのことへの謝罪とファンへの感謝を強調しつつ、ただ選手たちの失意があまりにも大きかったことから「そこまで批判はできない。バイエルンとしてはあまりに痛い敗戦だ」と説明。そして「ブンデスリーガでは素晴らしい流れにあり、これから難敵を攻略するために乗り込んでいくことになる」と前を向く。その視線の先にあるのが古巣、ボルシア・ドルトムントだ。その起用法については「ギリギリまで考えるだろう」とトゥヘル監督。ジョシュア・キミヒは出場停止で、マタイス・デ・リフトはザールブリュッケンで内側靭帯の部分断裂を負い、数週間の離脱。
前を見据えるトゥヘル監督。起用できる選手は?
ダヨ・ウパメカノ(太ももの筋損傷)、ラファエル・ゲレイロ(太ももの筋断裂)、レオン・ゴレツカ(中手骨骨折)、ヌゼア・マズラウイ(体調不良)にも大きな疑問符がつく。 ウパメカノについては水曜の試合でも20分は起用したかったようだが「できなかった。速すぎたんだ。ゴレツカやゲレイロと同じく。だから今回もあの時メンバー入りしていないことは念頭にいれておかないとね」と説明。ゴレツカについては月曜日に初めてチーム練習復帰を果たし問題なくこなし、ザールブリュッケン戦でのニャブリと同様に保護器具を装着してのプレーも見込めるだろう。だが別の言い方をするならその時のニャブリのように本調子ではないリスクも孕んでいるが。「彼を責めるつもりは毛頭ないが、動きや自由性、対人戦などへの勇気や無心といった部分で違いはどうしてもでてくる。だから慎重にうまくみきわめていかないと。医療スタッフと熟考を重ね、最終調整で見極め、ギリギリまで検討するよ」
ボアテング獲得は見送り、ミュラーとの延長交渉は?
ちなみにCBの選手層の薄さから一時期はテストしていたジェローム・ボアテングについて、現在も獲得の可能性はないのかとの質問には「何も変更は考えていない。デ・リフトの再負傷は痛いがね」と語った。また同じく2014年W杯優勝戦士トーマス・ミュラーについても、出場機会が減少しく苦しい立場に置かれ明らかにチーム内での重要度は低下しており、キッカーが得た情報ではバイエルンはミュラーに対して契約更新の打診も行っていない模様。また金曜にはアマゾンプライムと共にキャリアを振り返るドキュメンタリーの制作も発表されたが、ただミュラー自身は引退の二文字は特にない様子。特にザールブリュッケン戦では唯一メディアにしっかりとむきあい、チームに檄を飛ばしたベテランの存在は、きっと今回のドルトムント戦でも必要とされるはずだ。

©️IMAGO/Moritz Müller
ドルトムント「中盤ではジャンだけ疑問符」
ボルシア・ドルトムントの人事面に目を向けると、マリウス・ヴォルフはドイツ杯ホッフェンハイム戦で負傷。ラミー・ベンセバイニとの交代を余儀なくされているが、「状態はかなり良いようで、試合後にはいい感じになっていた」ということでおそらく引き続き右サイドでの起用となるだろう。膝の問題でここ2試合欠場中の主将エムレ・ジャンについては、木曜に個別調整やランニングメニューを実施。最終調整でのチーム練習参加を目標に据えて入るものの「10日間も離脱しているからね。ただ中盤における唯一の疑問符でもあるが」とテルジッチ監督。逆にバイエルンの中盤は予想がつかないが、「我々にはどうしようもないことでトゥヘル監督らの課題だよ。どのみちバイエルンなのだから容赦ない布陣でくるさ。水曜の試合のこともあるが、でも彼らが後半だけで8点を決めたのもそんな前の話ではない」
「ケインに貼り付くわけにもいかない」/h3>
とりわけザールブリュッケン戦では欠場していたハリー・ケインは「いかに得点しているかわかっているさ。無意味に12得点5アシストしているわけじゃない。とはいえ彼にだけべったり貼り付くというわけにもいかないよ。彼は後ろにも下がったりするものだから、それについていってしまえば自分達がスペースを提供することになる。」と説明。「我々としては何度もお互いをサポートしあいチームとして対応していきたい。マンツーマンではなく。エキサイティングな仕事になるだろうが、過去にもトップストライカーを抑えた実績もあるわけで、自信をもってこの試合に臨むよ。ドイツ杯では(フメルスの代わりに出場した)ズーレと共に良いCBコンビを形成できた。シュロッターベックはほぼ全ての対人戦で勝利していたと思う。まぁ確かにバイエルンは9試合で34得点というくらいのクオリティを示しているがね」
テルジッチ監督「我々は野心的」
逆にドルトムントはこれまで1−0での勝利が多く見受けられるなど、「華麗さは薄くとも勝利する」というスタンスで今期を戦い続けてきた。バイエルンがここまでリーグ戦やCLではいまだ無敗を継続していても、昨季の後半戦のように「それは我々だって経験してきたこと。大いにバイエルンを苦しめていきたいし、最終的には自分達が一番上にいけるように、これからも全力を尽くしていく」と述べつつ、ただリーグ戦の1つであることも強調。「相手がどうで、どの大会に影響を及ぼすかなどが問題ではなく、とにかくこの試合で勝つか負けるか。それだけだ。ファンにとってはこれは特別なことではあるだろうし、バイエルンにとっても我々との対戦は神経質にはなるとは思うよ。特にあのような試合の後なのだし」と述べ、5年ぶりのホームでのバイエルン撃破にむけたシナリオとして昨季ムココとモデストが追いついたような「ジョーカーが決定的な役割を果たしてくれてもいいし、落ち着いて終盤を迎えられても悪くはないさ」と語った。
先発予想(日本時間26時半キックオフ)
【ドルトムントの先発予想】Kobel – M. Wolf, Hummels, N. Schlotterbeck, Ryerson – Özcan, Sabitzer – Malen, Reus, Brandt – Füllkrug
【バイエルンの先発予想】Neuer – Mazraoui, Upamecano, M.-J. Kim, Davies – Laimer, Goretzka – Coman, Musiala, L. Sané – Kane