2023/05/03

独紙キッカー解説:適切に模範的姿勢で、フランクフルト残留を宣言したヘルマン取締役

©︎IMAGO / HMB-Media

 長い間で憶測が飛び交ったこの話題にも、ついに終止符が打たれることとなった。現在は暫定的に代表を務めるブンデスリーガでの投資家関連手続きにおける時期をはかりつつ、アクセル・ヘルマン氏が火曜日にアイントラハト・フランクフルトでの取締役を継続することが発表されたのだ。とりわけこういった事柄における発表のタイミングの重要性は、特にフランクフルトではかつてアディ・ヒュッター監督、フレディ・ボビッチ元取締役などでも経験しており、その際に苦言を呈していたヘルマン氏は毅然と、模範的な姿勢と適切なタイミングで明確にしている。

 これまでヘルマン取締役をめぐっては、フィリップ・ホルツァー相談役会会長との亀裂が報じられてきたが、数ヶ月にわたる話し合いの末に不可能と思われていた、両者とも面目をつぶすことなく解決策を見出すことに成功。ただそこでは責任範囲が再定義されることになり、ヘルマン氏の立場は明らかに強化。ホルツァー氏はより保守的に解釈して職務を遂行していくことになるだろう。それこそがクラブを安定化させ、成功をおさめていくための基礎となるものだ。

 これまでヘルマン氏はクラブとともに成長し、そしてクラブもまたヘルマン氏とともに、1部2部を行き来するクラブから、欧州リーグに定期的に出場するクラブへと変貌を遂げてきた。そしてこれからはヘルマン氏が中心となり、未来への道筋を描くべく、さまざまな委員会において若返りがはかられることになるだろう。困難な状況下の中でいかにしてフランクフルトの地から成功するサッカークラブを作り上げていくか。資金確保も含めて、長期的な実現に向けた取り組みを目指していく。

 だが関係者全員にとってハッピーな結論であるかといえば、そうではないだろう。ドイツサッカーリーグ機構にとってみれば、先見の明をもった経験豊富な評判の高い経営者を、迎え入れるチャンスを逸してしまったのだ。世界のサッカー界においてトップクラスの力をもつこの役職に、ノーをいえるとはあまり多くの人にとっては想像できることではないかもれしれない。しかしそれほどにアイントラハト・フランクフルトは、ヘルマン氏にとってハートの問題、つまりはライフワークになっているということだ。
 

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