2023/05/08
独紙キッカー解説:「長谷部は血尿しても」発言のグラスナー監督、もはや苛立ちは頂点に

©︎IMAGO/Michael Weber
土曜午後のTSGホッフェンハイム戦での敗戦後、オリヴァー・グラスナー監督から出た言葉は、「これまでに私は何度も口にしてきた。チームの取り組み方や献身性とか、そういうことへの批判はもうやめてくれ」というものであった。「それでは1つ私から皆さんに語ろうか。大ベテランの長谷部誠は今年で39歳、シーズンの終盤にあたる今週には43試合目の公式戦で、3試合連続フル出場している。そこでの疲労困憊から血尿だって出ることさえあるのだ。それでも彼はプレーする。戦い続ける。それでやる気の問題だって?そんなくだらない話はもうよしてくれ!」だがまもなくして、その言葉に問題を感じたのであろう。指揮官は「今日は黙っていたほうがよさそうだ。なぜなら私の発言は何もかも、私に不利に扱われる可能性がある」と付け加えている。
それではピッチ上のパフォーマンスにフォーカスしていこう。確かにフランクフルトのクオリティは評価されるものが備わっている。事実2023年に入るまではブンデスリーガで首位バイエルンとの勝ち点はわずか5差、ドイツ杯のみならずチャンピオンズリーグでもグループリーグを突破、見事ともに越冬を果たしたことを踏まえれば、現在の10試合連続未勝利というものがメンタリティや、アプローチの問題であることを否定などできないはずだ。昨シーズンにおいてもフランクフルトはヨーロッパリーグ優勝という快挙を果たした一方で、リーグ戦では今シーズンと同様に11位と期待値を大きく下回っている。今年もドイツ杯決勝進出と果たして、6月には再びタイトル獲得をレーマー広場で行えるかもしれないが、それでもチームの立ち位置について再評価し、正確に理解する必要があるだろう。
水曜夜にドイツ杯決勝進出を果たしたときには、まるでフランクフルトの世界は薔薇色のように、恍惚に輝いているようにもみえた。確かに成功を祝うべきではないとはいわない。しかし1月以来10試合目となるアウェイ戦で初めて勝利を手にしたという事実に、少し行きすぎていたところはなかっただろうか?それがチームに誤ったシグナルを送る可能性は否定できるものではない。逆にいえば、もうこれしか欧州への切符はつかめない。ホッフェンハイム戦で見せた守備には安定性も、妥協のなさも、メンタリティも見られず、昨年まで印象的だった攻撃も鳴りを顰め、後半戦14試合での得点数はわずか15。これはブンデス全チームで下から2番目の成績だ。クレーシェSDも「今日のパフォーマンスでは何も得られるものではない」と敗戦を認める中で、むしろ普段は口が固いグラスナー監督はこの日はいつになく攻撃的な態度をとった。もはや増え続ける批判に耐えきれず、指揮官のその神経はすでに限界にまで達している。