2023/04/27
入場無料?地域密着型デュッセルドルフが打ち出した、前代未聞のサッカーコンセプト

©︎IMAGO/Moritz Müller
ブンデス2部フォルトゥナ・デュッセルドルフは水曜、ホームゲームを入場無料で開催するプランを描いていることを明らかにした。このプロジェクトはリリースされる前日から、クラブのパートナーに送った書簡がSIDによって公開されたことにより、すでに大いに話題となっており、、そのなかでファン連合”Unsere Kurve”の広報担当トーマス・ケッセン氏は、「以前よりサッカーは人々のためにあるべきと考えており、当然そこではチケットの値段も関わるものですが、今回のデュッセルドルフのアイデアは大いに歓迎すべきものだと思います」とコメント。ただし例えばバイエルンでは観客がスポンサーのドイツテレコム社の頭文字を形成するなど、「スポンサーにどのような影響が与えられることになるのかは、まだわかりません」とも付け加えている。
そして水曜日に発表された内容においても、アレクサンダー・ヨブスト代表やクラウス・アロフス取締役、アルンド・ホーヴェマン取締役からも、この計画はパートナー企業やスポンサーに大きく依存していることは強調されており、この入場無料企画は”Fortuna für alle (みんなのフォルトゥナ)”が掲げる4つの基本方針の1つだという。そこですでにHewlett Packard Enterprise (HPE)、TARGOBANK、Provinzial、Common Goalの4社が戦略パートナーとして迎え入れられており、さらに”地元の企業が信念を持ってこのコンセプトを支持し、今後5年間で合計約4500万ユーロを長期的なパートナーシップで拠出する予定となっている。”とクラブ日本語公式では説明。
さらに”トップチームへの投資に加え、20%はユースアカデミーセンターと女子サッカーにあてられ、20%はデジタルインフラとアリーナに使用される。また、資金の10%は市内の大衆スポーツを促進し、ESGプロジェクトにも積極的に関わっていくこととなる。そのために、フォルトゥナはクラブとしてこの分野に力を入れ、パートナーのCommon Goalとともにプロジェクトを実施していく。”とも説明し、”透明性のある資金使途に基づき、資金はプロサッカーだけでなく、ユース分野、女子サッカー、デジタルインフラ、持続可能な社会プロジェクトにも使用されることとなる。こうして、徐々に少なくなっていくチケット収入を補うことになる。”との考えを示した。
特に今回気になるのは入場無料がどれほどの範囲で、どれほどの頻度で行われることになるかだが、目標としては”フォルトゥナの会員、シーズンチケット保持者、組織的支援者、定期的にスタジアムを訪れる方、相手サポーターの方に関わらず、すべてのファンがフォルトゥナのホームゲームに無料で入場できるようにすることである。”としており、まず来シーズンでは3試合が予定。シーズンチケットホルダーの座席確保が優先で、自由席や団体予約席などはデジタルプラットフォームを通じて、超過した場合は抽選によって割り当てられることに。最終的にそれがその後に増加していき、シーズン17試合にまで及ぶかどうかは、あくまでパートナーの数や協力内容に依存することになる。
独紙キッカー解説:ドイツの地域密着型の新たな挑戦にエール
確かにこれまでにも無料キャンペーンは行われてきたことではあるが、これほどまでに大規模なものは前代未聞だ。ただ別の見方をするならば、従来のビジネスモデルにおける行き詰まりを悟ったことも、今回の決断を後押ししたという背景にあるだろう。これは当然デュッセルドルフに限ったことではない。ブンデス内だけでみてもCL常連、ブンデス1部常連、ドアマットクラブらの収入面における格差は、長期にわたって不健全な状況へと発展をみせてきた。プレミアリーグなどと比較すればメディア収入の問題も、そしていわゆる”50+1%ルール”によって投資家参入がかなり制限されていることもある。そこでクラブとしては創造的な解決策が求められているのだ。
そこでデュッセルドルフが提示したのは、社会的責務を果たす地域密着型クラブとしてのアイデアであり、”デュッセルドルフのサッカーに持続可能な変化をもたらすため、地元の企業が信念を持ってこのコンセプトを支持”していると説明。特に昨今のブンデスリーガでは単独投資としてブンデス史上最大となったヘルタ・ベルリンや、いまやCL常連クラブとなったライプツィヒが話題となる一方で、競技面でみると限られた財政で賄われる地域密着型クラブ、まさにヘルタと対照的なウニオン・ベルリンや、堂安律が所属するフライブルクなどは、今シーズンでは残り5試合でCL出場圏内にまで躍り出ているところ。果たして財政面においてもドイツの地域密着型が新たな世界を開拓していくのか。それは大いに注目されるものであり、やってみる価値は十分にある。フォルトゥナの幸運を祈りたい!
若手GKライトマイヤーがロッテルダム移籍に迫る
クラウス・ライトマイヤー氏の息子であるケイレン・ライトマイヤーが、将来オランダでその若いキャリアを積んでいく可能性があるようだ。父と同じくGKとして活躍する身長1.97メートルのティーンエイジャーは、数日にわたるトライアルトレーニングでスパルタ・ロッテルダムを納得させた模様。キッカー情報によると、デュッセルドルフのU19のキーパーの育成の補償について、近々話があるようだ。しかし、フォルトゥナは、夏に切れる18歳の契約を延長することにも興味を持っているところ。