2023/07/26

5年でブンデス2部からCL!ウニオンの飛躍を支える敏腕アスレティックトレーナー

©︎IMAGO/Matthias Koch

 わずか5年の間でブンデス2部から一躍、チャンピオンズリーグの舞台にまで飛躍を遂げた、1.FCウニオン・ベルリン。その勢いはまさに”収まりきれない”レベルにまで達しており、今季のチャンピオンズリーグの試合は収容人数の関係からライバルであるヘルタの本拠地、ベルリン五輪スタジアムにて行わなければならないほどだ。地元密着型の小規模なクラブながら見せるその進化の過程において、やはり注目されるのは就任初年度から常にクラブ新記録を作り続ける指揮官、ウアス・フィッシャー監督ということになるだろうが、しかしながらウニオンで注目される人物はそれだけではない。選手のポテンシャルを最大限に引き出すその立役者、アスレティックコーチのマルティン・クルーガー氏もこの成功に陰ながら大きく寄与する人物である。

 それは実際に数字として現れているところ。『fussballverletzungen.com』が発表している統計によると、全選手の離脱日数を合計してチームの人数で割った場合、選手1人あたりの平均離脱日数は18.45。これはクラブ史上初となる欧州の舞台(ヨーロッパカンファレンス)を含む3大会同時参加という点、ワールドカップの冬季開催という通常の日程とは大きく異なっていた点、さらにはそれに続く2位VfBシュトゥットガルトが29.88日と圧倒的な差が開いている点などからも、いかに驚くべき数値であるかが見て取れるだろう。今回メディアとの質疑応答に応じたクルーガー氏は、まず注意しているポイントとしていかに選手と素直に向き合っていけるかの重要性を説く。

 つまり違和感を覚えているのにそれでもなお練習をさせ長期離脱するのではなく、その時はむしろきっちりと休んで万全になってから翌日にでもプレーすることのほうが大切であるということ。そして選手と真っ直ぐ向き合うことで、なぜそのトレーニングをしているのかを理解して実践に移せるようにすることなどを挙げている。「そのほかにもどれだけデュエルが激しかったのか、怪我への耐久性は選手それぞれでどうなのかを互いに理解を深めていくこと。ただどうしても運という部分も関わってくるものではあるがね」

 またメンタル面におけるケアも重要だとも説明した。「疲労と聞くと筋肉を想像されるかもしれないが、神経にも疲労はでてくるもの。つまり頭から伝達される神経回路が回復しきれていないと、伝導に過度の負荷がかかり筋肉を普段のように使えなくなってしまう。そうなると負傷をしやすくなってしまうんだ」しかもそれはそれぞれチームごとに、精神的な疲労が蓄積する時期が異なってくるもの。一概にどの時期が負傷が多いとはいえないとクルーガー氏は語る。

 加えてプレースタイルによっても判断を変えていかなくてはならない。「たとえばシェラルド・ベッカーやジェローム・ルシヨンのようなスプリンタータイプは、ロビン・クノッヘやラニ・ケディラのように、長時間のトレーニングを行えるようなものではない。彼らの筋肉はそこまで頑強ではないので、むしろ短時間ながら強度の高いトレーニングを行い、それから時間をかけて回復することが求められるんだ」その確認作業で活用しているのがアプリ。選手たちはそこで自身の体調や感覚を記載し、それを元にしてクルーガー氏は練習の強度や内容を調整していく。「マイナス表記なら話をして、時には今日は楽しむだけでいこうかと声をかける。それは戦術や走力練習より大切なことだからね。選手がやれるときにやれるようにするんだ」

 体力面の疲労には休息を、精神面の疲労にはゲーム形式などモチベーションを上げる工夫を凝らしながら、選手1人1人との深い信頼関係の中で、オンオフのスイッチの切り替えを適切にはかり、ベストタイミングで精力的に打ち込ませながら、パフォーマンスが継続的に向上していくための環境作りを行なっているということ。それは昨シーズンのブンデスリーガ総走行距離ランキングにおいて、1.FCケルンに次ぐ、全体2位となる総走行距離4027km(ケルンは4044km)という数字からも見て取れるものだ。

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