2019/11/13
アブラームに吹き飛ばされた、シュトライヒ監督「雄牛に54才が挑むべきではない」
ブンデスリーガ第11節の中でも、とりわけ世間へと放送された場面として、最終戦に行われたフライブルクvsフランクフルト戦での終了間際のシーンを挙げることができるだろう。フライブルクが1−0とリードしたロスタイム、フランクフルトの主将ダヴィド・アブラームがサイドラインにボールを取りにいった際、相手指揮官クリスチャン・シュトライヒ氏に対して、猛烈な勢いでチャージして突き倒したのだ。即座にアブラームに対しては退場処分が宣告されており、ドイツサッカー連盟はフランクフルトの主将に対して、年内残り全休とする判断を下している。さらに2万5000ユーロの罰金も請求された。なお24時間以内であれば、異議申し立てを行うことが可能。
なおシュトライヒ監督自身は、試合後「私自身は、ただあそこに立っていただけだった」と、TV局スカイとのインタビューの中で語っており「アブラームは当然、非常に熱くなるタイプの選手だよ」とコメント。「確かに彼は私に突進してきたが、ただ落ち着こう。サッカーというのは闘争心あふれる競技でもあるのだから。あの場面を誤解してはいけない。熱い試合だった、そして冷静に戻る。それで終わりさ。不必要なことを、あれこれ話す必要もない」と言葉を続けている。
ただ動画で確認をしてみると、シュトライヒ監督はアブラームに対して、何か苦言を呈しているように見えたのだが、あれは事態をさらにヒートアップさせようとしていたのか?それとも沈静化をはかっていたのか?「沈静化なんてできるものではない。それに、早く試合を進めさせる義務が私にあるわけでもない。」と述べつつ、「問題は、仮に私がボールを取りに行っていたならば、もっと事態にややこしくなっただろうね」と説明した。
そして改めて、あの場面について「彼は私にチャージをしたということ。試合に勝ちたくて熱くなっていたということ。そして彼がそもそも感情的な選手であるということ。それが全てだよ」と振り返っており、衝突直前には「もうちょっといけるかな」と思ったとのこと。だが「54歳にして、雄牛を相手にするのは止めた方が良い。太刀打ちできるもんじゃない」とコメント。
試合後には、アブラームとシュトライヒ監督はハグを交わしており、「彼は、私がもっと強いと思っていたと言っていたよ」とシュトライヒ監督。さらにフランクフルトでは、この騒動の巻き添えで退場となったグリフォと、アブラームが握手を交わす場面を投稿しており、アブラーム自身が「あれは避けるべきだっただろう」と謝罪のメッセージを掲載した。
フランクフルトのアディ・ヒュッター監督は、「アブラームはミスを犯したが、シュトライヒ監督とすぐに話して謝罪している。すべての関係者の間で状況はクリアになっているよ。彼とも話して、こういったことは決してうけ入れられないこと、もう目にしたくはないことを伝えた。ただアブラームは今後もキャプテンのままだよ」とコメント。
またマネージャーを務める、フレディ・ボビッチ氏も「全く不必要なものだった。当然、このことに注目が集まることになるだろう。あんなことはやってはいけないこと。それは確かだよ」と述べ、飛んで行ったボールがシュトライヒ監督の脇をそのまますり抜けていったことに、「カッとなってしまった所があったのだろう。だがそれは許されることではない。それは彼もわかっているし、私からもそう伝えた」と語っている。
なおフライブルクでは隣人でもある、ドイツ代表のヨアヒム・レーヴ監督は、「クリスチャンは、結構、頑丈だよ」と述べ、「彼は忍耐強い」とコメント。「今週にも、また自転車にまたがり、どこかの山でもサイクリングしながらスッキリさせていくことだろう。」との考えを示した。「遺恨が残るようなことは、無いだろうね」
ちなみに騒動の際にアブラームの首や顔を掴むなどを行なっていた、フライブルクのヴィンセンツォ・グリフォに対しては、ドイツサッカー連盟は3試合の出場停止処分とする判断を下している。