2023/05/15
独紙キッカー解説:ドルトムント戦に見るグラードバッハの混乱、2年連続でまたも大幅再建の道?

©︎IMAGO/Norbert Schmidt
日曜日に行われたボルシア・メンヒェングラードバッハのトレーニングでは、ダニエル・ファルケ監督がピッチに立ち指導を行っていた。だがその光景は決して普段通りとは言い難いものがある。なぜならば週末の試合以前より同監督には進退問題が取りざたされており、そしてドルトムント戦での目に余る2−5での敗戦からさらにヒートアップ。ヴィルクスSDは監督支持への明言を避け、さらに後任候補としてセカンドチームのオイゲン・ポランスキ監督の名前まで浮上するなど、発展をみせているところなのだ。果たしてファルケ監督は来季も続投するのか、否か。夏にはチームの大改革が叫ばれているというのに、現在の無気力さは無難に過渡期を過ごそうという思惑を台無しにしてしまうもの。
再建を図った昨夏、そして今夏もまた再建?
ただそもそもグラードバッハは持続可能なものを構築していくという目標のもと、過去の財産を大切に積み上げていくという明確な目標がある。だが実際はマルコ・ローゼ監督の退任騒動、その後の就任したアディ・ヒュッター監督下での混乱の1年を経て、ダニエル・ファルケ監督の招集を決断したという経緯を忘れてはならない。そこで敢えてポゼッションサッカーへの転換とそれに伴う戦力の入れ替えというまでの判断を敢行したにも関わらず、またしてもこの夏に大幅な方針の転換を余儀なくされるのか。前節ボーフム戦では「ダニエルはそれができると証明済みだ」と、ノリッジ・シティ時代の成功を引き合いに「そのチャンスを得るに相応しい」と述べていたヴィルクスSDの、その後の沈黙が意味するところは?
例えば成績面でみれば、過去リーグ戦25試合だけでみれば勝ち点数27のみと、まさに降格候補といっていい不振つづき。しかもこの長期期間の間でチームは頻繁に冷静さを失ったかのようなプレーをみせており、ピッチ上では戸惑いさえ感じられるところ。またファルケ監督自身からも試合中の交代をしないのかできないのか、ドルトムント戦では立ち上がりから圧倒されるもハーフタイムまで手を出せず仕舞い。しかも0−4という中で板倉滉1枚だけの交代では理解に苦しむというもの。明らかに状態が悪い選手がいても、それを入れ替えられないというのはいかがなものか。
そもそもベンセバイニは退団も明らかにしている中で、後継者となる若手ルカ・ネッツが控えているにも関わらず、不調のベテランを使い続ける理由は?そもそもクラブの方針の1つが若手の積極登用ではなかったのか。本当に来季もファルケ体制継続で夏のチームづくりを進めるのか。ただそれでも試合後に次期主将候補となるヴァイグルやホフマンが監督支持を表明したことは、前任のヒュッター監督下での選手との亀裂を踏まえれば明るい話題ではある。そしてヴィルクスSDが前節に口にした「チャンスを得るに相応しい」との評価もまだ有効ではあるだろう。現時点では。