2023/04/17
独誌キッカー解説:ただ泡と化したビッグシティ、ヘルタが目指す本来の道の先にあるもの

©︎imago images/Matthias Koch
ボルシア・メンヒェングラードバッハには4−1、フライブルクとも1−1を演じながらも、ヴォルフスブルクやシャルケには5失点で敗戦。ホッフェンハイム戦でも1−3で敗れるなど、「これは!」と思わせてもまるで発泡性の錠剤程度のあぶく程度の破裂しかなず、慢性的な一貫性の欠如、気分屋、組織面における問題などを抱え続けてきた、ヘルタ・ベルリン。
2年前に投資家ヴィンドホルスト氏から受けたブンデスリーガ史上最大の単独投資となる合計3億7400万ユーロも水の泡。スピードも気概も自信もヒエラルキーもクオリティも、そのすべてが欠け、またチームのみならず首脳陣までもがただ肥大し続けており、心身ともにその脆弱なヘルタを安定させようにも、質の高いCFも一流のCBも、ボランチも、これまで獲得することができない。もはやドイツの首都に浮かび上がるのは、廃墟と化した誇大妄想都市ビッグシティの蜃気楼だけだ。
それでもサンドロ・シュヴァルツ監督は嘆き節を口にすることなく、ただひたすらに取リク見続けてきた。実際にその姿勢は印象的なものではあったが、それでも別の人間たちによって生み出されたこの衰退劇を、指揮官1人の力で止める手立てなどはなく、いくら正しい行動をとっていこうにもにっちもさっちもいかないことがある、ということを指揮官はただただ身をもって知る他なかったのである。
昨夏より元ウルトラのカイ・バーンスタイン氏が下馬評を大きく覆すサプライズ当選で会長職へと就任して以来、ヘルタ・ベルリンはビッグシティプロジェクトから脱却、そして本来のヘルタの歩みに戻していく歩みを1歩1歩すすめてきた。その延長線としてきたのが今回、、今冬より視野に入れていたクラブに精通するパル・ダルダイ氏に白羽の矢を立ったということだろう。
別の見方をするならば新たに投資家として777パートナーズを迎えた今もなお、ヘルタの節約政策には代わりはなく、そのためこの苦難から最下位とり脱出するというミッションは、過去2度ヘルタを窮地から救ったダルダイ監督にあって、最も困難なタスクであることは確かなことだろう。 果たしてヘルタが歩むこの道の先に待ち受けているものは、どのような未来なのだろうか。