2023/03/07
ホッフェンハイムとホップ氏:コチャク監督提案に見えるヴィットマン氏の影

©︎imago images/Sven Simon
先日にアントレ・ブライテンライター監督が退任となった際に、その後任候補としてTSGホッフェンハイムでは「複数の候補者がいる」ことを明らかにしていた。最終的には今季途中までVfBシュトゥットガルトにて長期的に指揮をとり、そしてナーゲルスマン監督時代にホッフェンハイムでアシスタントも務めていた、ペジェグリーノ・マタラッツォ監督に白羽の矢がたったものの、その一方で先日に大株主としての特権を手放す考えを明らかにしたディトマー・ホップ氏は、実は別の人物を据えたいと主張していたという。それがブンデス2部ハノーファーで2021年まで指揮をとり、今はトルコ代表でACを務めているケナン・コチャク氏だ。
そもそもメディアの間では既に同氏の名前が浮上、しかもその理由というのが、ホップ氏と非常に関係の深い代理業を務める、ロジャー・ヴィットマン氏の推薦との噂が流れており、実際にこの情報は複数の関係者筋からの確認もとれ、ただホップ氏の提案にホッフェンハイムの首脳陣は全員が反対。満場一致でマタラッツォ氏就任を決定したようだ。ヴィットマン氏とホップ氏との蜜月の関係問題は10年以上に渡り続くものであり、確かにフィルミノやジョエリントン、ニコ・シュルツやジョルジニオ・ラターなど、多くの成功例もあるが一方でナザリオ、リベイロ、ピレス、ビテコなど思うようにいかなかった例も目につく。
サポーターらが横断幕を通じて批判を展開する理由は、それだけではない。ヴィットマン氏の近しい関係が2013年に設立したバーラFCにホップ氏が2020年に出資、さらにヴィットマン氏が帰属するブラジルの企業を通じてポルトガル2部アカデミコ・デ・ヴィゼウの株式を51%取得。その上でヴィットマン氏のロゴン社が助言した複数のエキスパートと直接契約を交わした事実が明るみとなった。さらに最近ではホップ/ヴィットマンのルートによって、AASサルセルもここに加わるようで、まるで小さなレッドブルモデルのように、バーラ、ヴィゼウ、サルセル、ホッフェンハイムという軸を思い描いているのだろう。
リーズ移籍で苦しむラター
そのヴィットマン氏は今冬に前述のジョルジニオ・ラターを、リーズ・ユナイテッドへと移籍させた。というのも選手本人はホッフェンハイム残留を希望しており、その強さからヴィットマン氏自らポルトガルの合宿地へと足を運んだほどである。関係者全てに巨額の収入をもたらしたディールではあったが、ホッフェンハイムもリーズも残留争いの真っ只中。監督交代が繰り返される中で、ラターは初先発を今週末まで待たなくてはならず、いまだ得点もアシストもなし。ブンデスで残された11試合、そしてプレミアで残された16試合。そこで最後に笑えるのはこの中のうちの誰だろうか。