2022/12/19

メッシがW杯優勝に黒衣着用、サバレタ氏「着なくてはいけない理由は?」

©️IMAGO:Eibner Internationa

 アルゼンチン代表選手の中にも、リオネル・メッシが黒衣を纏った直後から、薄ら笑いを浮かべる姿が見受けられていた。メッシのみならず全てのアルゼンチン代表チームの関係者にとって、おそらくは人生最高の瞬間の1つとなるであろう、その優勝杯を手にした時でさえも母国の英雄は、アルゼンチンのユニフォームをその黒衣によって覆ってしまったのだから、やはり違和感を覚えても致し方のないものだ。カタールのタミーム・ビン・ハマド・アル・ターニ首長とジャンニ・インファンティーノFIFA会長より渡されたその黒衣は、カタールに限らずアラブ諸国において、特別な日に着用される、カタールでは主に祝日に要人が着用する、羊毛やラクダの毛でできたマントのような衣服『ビシュト』が、よりにもよって1986年以来アルゼンチン代表による通算3度目のW杯優勝の場において大いに注目を集めることになったのだから。

 SNSにて話題となったことは言うまでもなく元イングランド代表ゲイリー・リネカー氏のようなテレビ解説者も、BBCに対して「このようなやり方で、アルゼンチンのユニフォームを身につけていたリオネル・メッシが、隠されたことは恥ずべき事態だ」と述べ、長くアルゼンチン代表として活躍していたパブロ・サバレタも、「なぜだ?とにかく、なぜ?あんなことをやる理由がない。」とコメント。元ドイツ代表主将の2人、バスティアン・シュヴァインシュタイガー氏(「あの素晴らしい瞬間が奪われてしまった。私も好意的にはみれないね。それはロッカールームでみせるといい。メッシ自身にとっても余り喜ばしいものにはならなかったのでは?少なくとも私の目にはあれは成功したようにはみえない」)や、ミヒャエル・バラック氏(「少し苛立ちを覚えるが、ただあれを着れるということ自体、彼の品性を物語るものだといえるだろう」)も、その行動に疑問を呈す。

メッシとサウジの関係性

 メッシと中東との繋がりが指摘されるのは、何も今に始まったことではない。今大会の初戦でその優勝を果たしたアルゼンチン代表に、黒星をつけた唯一の国となったサウジアラビアは、メッシに巨額の費用を投じて「サウジアラビア観光大使」へと任命。特にアディダス、コナミ、ペプシ、マスターカードなど、昨年だけで1億1600万ユーロを手にしている(フォーブス社調べ)メッシには、様々な人権侵害で非難されている政権を間接的に支援する必要は、経済的にみてもまったくなく、さらに2030年のワールドカップ招致をめざす母国アルゼンチンと、サウジアラビアはその開催権をめぐり争う立場にもある。無論、そんなメッシが「さぁ、サウジに行こう」とPRを3億7700万人のフォロワーのいる自身のインスタに投稿することは、人権団体のみならず母国アルゼンチンの人々にとっても決して喜ばしいことではない。ボンにある研究機関CARPOのアラブ湾岸君主制の専門家であるセバスチャン・ソンス博士は、先日kickerに対して「サウジアラビアは世界のスポーツ界でより大きな役割を果たすべく、いかなる代償も厭わず地域のライバルに差をつけるビッグプロジェクトを進めている」と指摘。メッシはその一部を担っているに過ぎないが、政治色の際立ったカタール・ワールドカップを終え、これからバロンドール7度目を受賞することになるであろう、この選手とこの話題はこれからもさらに続くことになる。

International Internationalの最新ニュース