2023/01/04

サッカー界の2つレガシー:不変のペレ、失墜のCR7

©️IMAGO/Bildbyran

 ペレは他界しても、彼のレガシーは生き続けていく・・・。現在サッカー界ではその象徴的存在となっていたレジェンドの死をそのような言葉で形容している一方、まったくその逆の現象をみせてしまったのがクリスチアーノ・ロナウドだ。マンチェスター・ユナイテッドでは規律面の問題により追放処分を受けた挙句、その後に物議を醸すインタビューを行って監督や首脳陣を批判。軌道修正してきたクラブ、そしてその後に参加したポルトガル代表に激震が走った後、有終の美を飾るはずだった大舞台でむしろ先発からも陥落。ライバルのメッシとは余りにも対照的な形で後にし、その後におよそ2億ユーロという破格でサウジアラビアへと渡ることが発表されたのである。

 CR7のレガシーは大きく損なわれてしまった・・・、確かにこれまで”美味しい契約”に飛びついて、その新天地について美辞美声を並び立てた後、結果的にはキャリアを失墜させ、寂しく別れを迎える姿は幾度となく我々自身も目にしてきたもの。何もロナウドの限りなどではない。それにアムネスティ・インターナショナルによれば、11月10日以降だけでも麻薬犯罪で20人に死刑を宣告、未成年の処刑や女性差別などで大いに批判される政権に対して、敢えて声をあげて立ち向かう姿勢をスポーツ選手に対して求めるような必要性だって当然あるはずもない。

 ただ問題なのは3世代でも使いきれないほどのお金を稼いできた男が、更にそういった政権から間接的にこれほどのお金を手にしてまで、その圧倒的なインフルエンサーとしての立場を利用し積極的に広告塔となって支持を広めていくということについては、まったくもって別問題の話だということができるだろう。カタールと同様にサウジでもスポーツを通じた権力の確保が積極的に行われており、例えばF1、ニューカッスル・ユナイテッド、アジア杯、そしてW杯や五輪招致などからも容易にみてとることができる。そのアンバサダーとしての役割がロナウド、そしてライバルのメッシにも求められており、さらにフォーブス紙が世界でもっとも稼いだアスリートと評した後者もまた、サウジの観光大使として巨額の契約を締結しているのだ。

 特にワールドカップ優勝後には自国のユニフォームの上から黒のローブで身を包み、2030年W杯開催招致ライバル国との絡みがあるにも関わらずという中での行為に、大いに物議を醸す結果となったことも記憶に新しい。なおマルカ紙によればルカ・モドリッチやセルヒオ・ラモスもアル・ナスルの候補として浮上しているとのこと。またロナウドの新指揮官となったルディ・ガルシア監督は、「実はメッシを連れてきたかった」と発言。無論これはASに対して「CR7を指導できるのは幸運」と述べているように明らかな冗談ではあるのだが、ただあまりその言葉を好ましく聞く人は多くはないのではないか。しかしながらこういった経緯に至る事態が招かれる、さらなるビッグネームがこれに追随できる環境にある、それが実現可能なことこそ問題なのであり、いま求められていることはむしろ選手個人の判断ではなくルール、話し合い、透明化や明確化といった部分にこそあるといえるだろう。 

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