2023/02/16
敗戦も”進展”とみるポッター監督。チェルシー巻き返しへの課題は?

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水曜夜に行われたチャンピオンズリーグ16強1stレグ、敵地シグナル・イドゥナ・パークでのボルシア・ドルトムント戦では、年明け8試合でわずか1勝のみだったチェルシーFCはここでも黒星スタートを喫することに。ただそれでも前向きに、一歩前進していると捉えている。「全体的には試合の大部分において、選手たちがみせていたパフォーマンスには満足しているよ」と、クラハム・ポッター監督はコメント。前半では「均衡」し、後半では「支配的で優位に」試合を進めていたことを強調した。「ただ失点の場面については、しっかりと守れなかったが」
それは指揮官が抱く印象だけではない。例えばジョアン・フェリックスのシュートはクロスバーに阻まれ、カリドゥ・クリバリのシュートは寸手のところでジャンにクリアされており、相手GKグレゴール・コーベルの好セーブにも幾度となく阻まれた。相手指揮官のテルジッチ監督も「今年のプレーの中で、ベストの後半だった」と賛辞を贈る。それでも結果は出なかった。いったいその要因は何か?1月にも爆買いを行ったチェルシーではあるがむしろ今は、息のあったプレーを意識してゲームプランをより実践できるチームづくりが求められているようだ。
全てのセットプレーの前に長々と担当者を話し合って決める必要があるだろうか、幾度となく送られたクロスにほぼ受け手さえいなかったことに意味があるのだろうか、アデイェミの快速を知りながらエンソ・フェルナンデスを唯一のカバー役に配置した理由はなんだろうか?
また新加入のムドリクに目を向ければ、いかにチームに馴染ませるのに時間を要するかが見て取れる。出だしこそ良かったがパスの受け方が悪く、ゴール前に詰め寄るもシュロッターベックに簡単にボールを奪われ、確かにドリブルによるサプライズが期待されている選手ではあるものの、時にシンプルな仕掛けも効果的であることもまた学ばなくてはならない。さらに前述のアデイェミのカウンターの際には、むしろムドリクが追いつくことのできた選手だった。だが逆に本来自分たちがみせたかったプレーを、まざまざと見せつけられる結果となっている。
セカンドレグでの巻き返しに向けて、ポッター監督は「フィニッシュの部分では、もう少しツキに恵まれる必要があるよ」とコメント。確かに3週間後に控えるスタンフォード・ブリッジでの一戦では、まだまだ0−1からの巻き返しは可能だ。ただそのためには運どうこうもあるにせよ、とにかく自分たちのパフォーマンスをいかに高いレベルで発揮できるか。そのためのゲームプランが求められることにもなるだろう。
改めてその点で考えて見た時に、いまだ「真の点取り屋」不在の問題を抱えていることは不思議でならない。新オーナーと共に迎えた昨夏の移籍市場、さらにはこの冬の移籍市場においても、実に6億ユーロという欧州5大リーグ1つ分に相当する金額を投じて爆買いを展開したにも関わらず、最も求められていたであろうこの課題は、少なくとも半年後までまた手付かずのままなのだ。