2023/03/03

クラシコで自滅したレアル、それでもアンチェロッティ監督からは高評価

©︎AFP via Getty Images

 確かにFCバルセロナはエスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウにて行われたコパ・デル・レイ準決勝ファーストレグ、レアル・マドリードとのクラシコにおいて、いかにして勝利をおさめたのか理解できていないかもしれない。木曜夜に行われた頂上決戦では、バルセロナは攻撃的に試合に参加することはほぼなく、むしろ守備に忙殺されることもしばしば。それでも最終的には意外にも、勝者としてピッチを後にすることができたのである。ただその戦い方は敢えて意図されてのものであり、レヴァンドフスキやデンベレらの欠場もあってシャビ監督は「野戦病院」状態を試合前に嘆いていたのだ。そのため今季の飛躍を支えるディフェンス力を頼りに、前線ではミスを狙っていく作戦をとった結果、実際にレアルの軽率なスローイングから最後はミリトンによる不運なオウンゴールで先制。これが決勝点となりバルサが先勝を果たしている。

 ただレアルのアンチェロッティ監督は、「バルサの支配率は3割か4割程度のものだった。つまりはそれだけ我々は良い戦いをみせていたということでもある」と試合後に評価。「そこで我々は彼らに対して多くのプレッシャーを与えていた」と言葉を続けたが、ただこれまでのクラシコにおいて支配率だけでは勝利できないことは幾度となく証明されてきたこと。イタリア人指揮官はこの日、それを改めて思い知らされたに違いない。確かにこの日のレアルは意図したプレーができたのだろうが、ただそれはバルセロナの術中にハマった戦いぶりでもあった。サイドチェンジを繰り返して中央にクロスを上げるも、それはバルサのディフェンダーによってヘディングでクリアされている。きっとこれは例え試合が何時間あろうとも、繰り返されるしかなかったのではと思えるほどだ。

 ヴィニシウス・ジュニオールは俊足アラウージョによって押さえ込まれ存在感を示せず、他のレアルの選手たちもそんな状況から、なかなか突破口を見出せない。アンフィールドロードで5度もリヴァプールのゴールネットを揺らした攻撃陣は、この日に放った13回のシュートで、ゴールに向けてただの1つも飛ばすことさえできなかった(バルサは4本)。「前線ではもっと良いパフォーマンスができたはずだとは思う」とアンチェロッティ監督もこのことについては認識しており、「それでもこの試合は自信につながるものだ」とも強調。ただELでマンチェスター・ユナイテッドに敗退を喫した、”野戦病院”状態のバルサを相手していたことを踏まえれば、パワーバランスからみて敗戦は確実に避けられたはずだ。

シャビ監督「胸を張れるプレーではなかった」

 またバルセロナのシャビ監督は「ポゼッションのための術を見出せずに、レアルのエリアで対人戦で勝利していくのは難しかった。本来のプランは違ったのだ。我々は相手エリアで支配をして行きたなったのだが、それができなかったのだ。ボールに対するクリーンさに不足しており、今回のパフォーマンス自体は決して胸を張れるようなものではない」と、アンチェロッティ監督の発言を裏付けるようなコメント。ただマルコス・アロンソが不慣れなCBで輝きを解き放っており、「ボールのない中でいいディフェンスをみせていたし、体のあらゆるところを駆使してとく戦ってくれた」と選手たちを評価。「結果はよかったと思う。内容にはあまり満足はいかなくとも」と言葉を続けている。

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