2023/05/24

混ぜるな危険?サウジマネーとCLマネー手にする、ニューカッスル飛躍の行方は?

©︎picture alliance / empics

  2008年に「アブダビ・ユナイテッド・グループ(ADUG)」に買収されて以来、これまでプレミアリーグ優勝6回。先日には3連覇を達成し、さらにFA杯とCLも加えた欧州三冠達成への期待も大いに高まるマンチェスター・シティの飛躍も目覚ましいものがあるが、同じく今季のプレミアリーグではサウジアラビアのコンソーシアムが参入し大きな議論を呼んだ、ニューカッスル・ユナイテッドが20年ぶりとなるチャンピオンズリーグ出場権を獲得。無論それは途方もない資金力を背景に時間の問題とされてはいたことだが、それでも昨季途中に買収が成立したなかで残留争いを展開していったチームが、その翌年からいきなりリヴァプール、チェルシー、トッテナム、マンチェスター・ユナイテッドを上回る絵移籍を残すということは、エディ・ハウ監督も認めるように想定を遥かに上回るスピードだ。

 確かにこのような成績をおさめていけば、サウジアラビアにおける人種差別問題に関連した「スポーツウォッシング」(スポーツを通したPR、プロパガンダ行為など)問題、さらにチャンピオンズリーグ出場からの巨額の収入が加わることで異次元の選手獲得資金を手にする危険性もあるだろう。それがいかにクラブ自体に影響を及ぼしていくかはわからない。ただ現時点でいえば「スポーツウォッシング」については話題にはなっておらず、またたとえば今季は欧州5大リーグ1つ分に相当する移籍金を投じたチェルシーが混迷を極めたような、爆買い政策も今のところはまだ見られていない。昨夏に残留を果たしたときにクラブ首脳陣は、アレクサンダー・イサク(7000万ユーロ)、アンソニー・ゴードン(4600万ユーロ)、スウェン・ボットマン(3700万ユーロ)を獲得しつつ噂にあがったクリスチアーノ・ロナウドを迎え入れるようなことはせずに、ハウ監督は以前ボーンマスで行っていたような選手の育成を軸にした、驚くほどに均質な先頭集団を育むことに成功した。

 つまり確かなノウハウ、求められる忍耐力、そして潤沢な資金を手にした時、そのクラブにはエリートクラブへの階段しか残されていないということである。それをまさに実証してみせたマグパイズが描く飛躍は、数多くの不確定要素がある世界とはいえ、それでも当初懸念された金銭に溺れる不安は当分は払拭されたといえるだろう。きっとこれはおそらくは13年前にその先駆けをいったマンチェスター・シティが歩んできたような圧倒的な成功をおさめる、その始まりにすぎないのかもしれない。それまでにどれほどの時間を要するのか?少なくともその出だしは、ハウ監督の指摘するような予想を遥かに上回るものであることは確かだ。

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