2023/03/30

独誌キッカー解説:FCケルンに激震!1年間の移籍禁止処分が意味するところ

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 FIFAは水曜日に1.FCケルンに対して、1年間に及ぶ移籍禁止処分を言い渡した。2022年冬に若手選手を不正に獲得したことへの処分であり、すでに国際スポーツ仲裁裁判所への控訴の意思を示しているケルン側ではあるものの、しかしながら仮にこの処分が認められた場合にどれほどのインパクトがクラブを襲うことになるのだろうか?

つまり新戦力を獲得できないということは、それだけ既存の戦力をいかに保てるかという部分にかかってくることとなり、別の見方をするのであればもはや戦力外と判断されていた選手でさえも、いまや貴重な戦力として確保しなくてはならないということ。さらに契約延長は認められていることから、契約満了を迎える選手とはこれから延長交渉に臨まなくてはならないということも意味する。

 たとえばGKに目を向けてみよう。マルヴィン・シュヴェーべに先発GKの座を譲ったティモ・ホルンは、ケルンとの契約をこの夏まで残していることから更新を目指さなくてはならない。だが交渉上における立場はこの時点で十分に不利だ。ケルンには代替案がない上に、レーゲンスブルクにレンタル中の若手GKヨナス・ウルビヒを戻そうにも、武者修行を意識したレンタル期間は2024年まで。仮にホルンから”イエス”が出なければ大幅な弱体化は避けられない。2部降格でもケルンに留まる愛情があるホルンとはいえ、バックアップでさらにバックアップで留まるかは疑問だ。

 ただその一方でケルンでは5選手のレンタルからの復帰という選択肢も残されている。理論上では。そのうち3人は若手(オブス、スポンセル、カストロプ)であるのに加え、計算できるエラス・ベローナにレンタル中の攻撃的MFオンドレイ・ドゥダ、そしてハンブルクにレンタル中の左SBノア・カッターバッハにはそれぞれ買取オプションが付随。しかも左SBといえば今冬にザンクトパウリからの獲得が発表された、レアルト・パカラダの補強が承認されないという事態にまで発展することも見逃せない。

 そうなると今季いっぱいまで契約を残す主将、ヨナス・ヘクターがクラブとの強い絆からこの苦境に立ち上がるという一縷の望みに託されることとなる。しかしそもそもヘクターにはこの夏で移籍濃厚とみられるエリス・スキリの穴埋めとしての役割も期待されていた。そのため万が一エリス、そしてヘクターが共にクラブを後にすることを決意した場合、もはやケルンがそのギャップを埋めることは不可能となるだろう。しかもサンプドリアからレンタル中のユリアン・シャボーの残留も不可能となるのだから事態はより深刻だ。

 ケルンではもともとストライカーがウィークポイントとなっており、セバスチャン・アンデションについても契約延長への再考を迫られることになるかもしれない。今は膝の手術後のリハビリ中であり、3週間ほどでチーム練習復帰の見込み。仮にシーズン終盤で存在感を示すことができれば、30歳のストライカーにとっては突如としてケルンでの未来が拓けることになる。いずれにせよケルンにとっては国際スポーツ仲裁裁判所の判断次第で、来シーズンにむけた人事計画すべてがひっくり返り、大きなハンデを背負ったまま戦うことを余儀なくされる。

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